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永住権申請の大幅な遅れ ―政府関係者が勧める“在留資格/ステータス変更”

新型コロナウイルスが与える影響は、世界中で今なお見受けられますが、米国への移民事情もまた例外ではありません。2020年当時、米国や他国で感染が爆発的に拡大した際、特定の米国政府機関やその業務が数か月間停止しましたが、それが歴史的な移民ビザ発給のバックログをもたらすことになりました。

現在、ナショナル・ビザ・センターにおける移民ビザの申請件数は、プロセスが滞ったことから、実に数十万件にも膨れ上がっています。プロセスが進まないため、多くの方々が身動きを取れず、その結果、2021年には発給されていたであろうグリーンカードが数万枚も無駄になりましたこの事態を受け、米国政府関係者は、永住権の申請者に対し、母国の大使館・領事館で移民ビザの面接を受けるのではなく、米国内で面接を受けるよう、推奨し始めました。

在留資格/ステータス変更 (Adjustment of Status/AOS) と移民ビザ申請 (Consular Processing/CP) 

以前のブログでもお伝えした内容ですが、バックログ解消の必要性に伴い、この問題がよりクローズアップされてきています。永住権申請プロセスの最終局面で実施される面接は、面接地を米国か、母国かで選択することが出来ます。

米国で面接を受ける方法を在留資格/ステータス変更 (Adjustment of Status/AOS) 、母国で面接を受ける方法を移民ビザ申請 (Consular Processing/CP)といいますが、現在、遅れが出ているののは、AOSではなくCP、すなわち、母国にある米国大使館での面接を選択した方々に関わるプロセスです。

つまり、米国内にある米国移民局で面接を受ければ、比較的早くプロセスを進めることが出来ることになりますが、AOSで申請するためには、まず第一に、申請者は合法的に米国に滞在していなくてはなりません。

バックログの解消には数年かかる?

この歴史的なバックログは、一夜にして解消されるものではありません。たとえ、何千人もの申請者がAOSを選択したとしても、手続きを待つ移民ビザの申請書は山ほどあり、2022年7月現在、母国の米国大使館での面接が設定されるのを待つ外国人申請者は40万人以上に上ります。

審査官が1カ月に対応できる面接の数は限られていますし、その上、日に日に新たな申請者が追加されていくわけですから、このバックログが解消されるには何年もかかるでしょう。出来るだけ多くの申請者がAOSを選択し、米国移民局が精力的にプロセスを進めていかなければ、この問題は益々深刻化する一方なのです。

AOSが出来る人、出来ない人

AOSを選べば、永住権申請のプロセスは早く進みますが、誰しもがAOSを選択できるわけではありません。オーバーステイや不法就労などのステータス違反があり、それが発覚した場合、申請そのものが却下されるだけでなく、より深刻な事態を招く危険性もあるのです。

唯一、朗報と言えるのは、移民国籍法245条 (k) によれば、雇用主がスポンサーとなる、雇用ベースの永住権申請の場合、軽度のステータス違反があったとしても、申請者は合法的に米国内で面接を受けることが出来る、としています。免除されるステータス違反は、以下のとおりです;

– 合法的なステータスを維持できなかった日数が180日以内である場合

– 不法就労の日数が180日以内である場合

– その他、ビザステータスへの資格や条件に対し、違反した日数が180日以内である場合

これらの軽度な違反であればAOSを選ぶことができますが、そうでない場合は、CPしか選択肢はありません。

これから永住権申請に臨まれる方は、ゆくゆく不利になることのないよう、ご自身やご家族のステータスをきちんと維持すること、そして、ご自身の状況であれ、米国政府のルールであれ、何かしら変更が生じる場合は適切に対応し、常に合法的なステータスであり続けることが大事です。米国政府は、ビザ保持者が最新の情報を常に把握していることを当然と見做し、「ルールがどのように変わるのか、何をしなくてはならないか」をわざわざ教えてはくれません。「明日も今日と同じ権利が同じように保証されている」と思い込むことは大変危険なことなのです。

ブランドン・バルボ法律事務所では、米国移民法の最新情報をご提供すると共に、ステータスの維持、延長や変更のお手伝いをしています。ご質問は、お気軽にお問い合わせください。

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