米国で働く際に避けて通れないのが、Form I-9の記入です。この書類は、米国移民局(USCIS)が個人の米国内での就労資格を確認するための書類で、雇用主と従業員の両者が連邦法を守るために使用されています。とはいえ、各セクションの内容を理解し、正しく記入し、すべての要件を満たすのは意外と大変です。特に、職場での自分の権利や義務を理解しようとする移民の方々にとっては、戸惑うこともあるかもしれません。
セクション1:従業員の情報と証明
Form I-9の最初のセクションは、従業員の個人情報と労働許可の証明がポイントです。ここでは、氏名、住所、生年月日、社会保障番号などの基本的な情報を正確に記入する必要があります。
また、従業員は、就労資格のステータスを選択肢の中から選び、その情報が正しいことを確認後、署名しなくてはなりません。なお、このセクションは、雇用開始日より前の、内定を受けた段階で記入することもできます。
セクション2:雇用主による確認と証明
このセクションは、雇用主が、従業員から提示された書類を精査し、従業員の身元と米国での就労資格を確認することがポイントです。確認のために利用できる書類は3つのカテゴリーに分かれており、最初のAのリストから少なくとも1つ、または、BとCのリストからそれぞれ1つずつの書類が必要です。
- 身元および就労資格の両方を証明できる書類
- 米国パスポート
- グリーンカード(I-551)
- 外国パスポート上に押印されたテンポラリーのI-551スタンプ、または、テンポラリーのI-551スタンプとそのスタンプに関する注釈のある移民ビザ
- 特定の雇用主の元で一時的に就労が許められている個人の場合:
- 外国パスポート
- 以下の条件をどちらも満たしているForm I-94またはForm I-94A:
- パスポートと同じ名前が記載されていること
- 米国内でのステータスの明記、かつ、そのステータスで滞在できる有効期限内であること。さらに、その雇用が、フォームに記載されたステータスの制限や条件と矛盾しないこと
- ミクロネシア連邦(FSM)またはマーシャル諸島共和国(RMI)のパスポートと、米国とミクロネシア連邦またはマーシャル諸島共和国との自由連合協定に基づき入国が認められていることを示すFrom I-94またはForm I-94A
- 身元を証明する書類
- 州政府、連邦政府または地方自治体が発給した運転免許証または身分証明書(氏名、生年月日、性別、身長、目の色、住所などの情報や写真が含まれているもの)
- 写真付きの学生証
- 有権者登録カード
- 米国軍人カード
- 米国軍人の扶養家族の身分証明書
- 米国沿岸警備隊商船員カード
- ネイティブアメリカン部族文書
- カナダ政府機関が発給した運転免許証
- 18歳未満の場合:
- 学校の成績表や通知表
- 診療所、医師、病院の記録
- 保育園や幼稚園の記録
- 労働許可を証明する書類
- 社会保障カード(ただし、以下のいずれかの記載がある場合は除く):
- 就労不可
- INS認可がある場合のみ就労可
- DHS認可がある場合のみ就労可
- 米国国務省が発給した出生証明書(Form DS-1350、FS-545またはFS-240)
- 米国の州、郡、市町村または領土の公的機関が発給した、公印のある出生証明書の原本
- ネイティブアメリカン部族文書
- 米国市民IDカード(Form I-197)
- 米国居住市民用IDカード(Form I-179)
- 米国国土安全保障省が発給した労働許可証
雇用主は、書類が本物であり、従業員自身のものであることを確認し、詳細を正確に記録しなくてはなりません。このセクションは、従業員の雇用開始日から3営業日以内に完了する必要があります。これらの要件に従わない場合、罰則やコンプライアンスの問題が発生する可能性もあります。
補足A:セクション1の作成者および/または通訳・翻訳者の証明
補足Aは、言語の壁やその他の理由によって、従業員がセクション1の記入に支援を必要とする場合に使用されます。作成者または通訳・翻訳者は、従業員から提供された情報が正確であり、そして、従業員が自ら証明した内容について理解していることを確認しなくてはなりません。これには、従業員の名前、住所、就労資格の確認が含まれ、作成者または通訳・翻訳者は、自身の名前、住所、署名を記入する必要があります。
このステップは、情報の整合性を維持し、透明性を確保し、従業員の就労資格について混乱させるエラーを避けるためにも大変重要です。例えば、従業員が外国パスポートとForm I-94を使用して就労資格を証明する場合、作成者または通訳・翻訳者は、これらの書類を慎重に確認し、適切に記録しなくてはなりません。
補足B:再確認および再雇用
雇用主が、従業員の労働許可を再確認する必要のある場合、または初回のForm I-9の記入から3年以内に再雇用する場合に補足Bを使用します。労働許可の再確認の場合、従業員はAまたはCのリストから、引き続き就労資格があることを示す、更新された書類を提出する必要があります。
例えば、労働許可証の期限が失効する場合、その従業員は更新された新しい労働許可証を提示する必要があります。再雇用の場合、従業員の就労資格に変更がない限り、雇用主は元のForm I-9を参照するか、必要に応じてフォームを更新することもできます。このプロセスにより、従業員の記録は最新の状態に保たれ、連邦政府の要件に準拠できるようになるのです。
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