移民法に関する明るい話題が届きました。今後、多くの永住権申請者へ発給される労働許可証の有効期間が2年から5年へ延長されます。米国移民局(USCIS)が発表した今回の変更は、就労に対する大きな助け舟となる、大変重要なニュースとなりました。 米国に合法的に居住しながら永住権を申請する場合、労働許可証を取得することができますが、以前、永住権申請の最終局面で、グリーンカードの承認はまだなのに、労働許可証の有効期限が迫っていることで、雇用継続への不安を強いられることがありました。ステータス変更の手続きにかかる期間が、労働許可証の有効期間である2年を上回り、永住権の申請中に就労資格を失う可能性があったのです。 この重大な問題を認識した米国移民局は、2023年第3四半期に、労働許可証の有効期間を5年へ延長するに至ったというわけです。 5年間有効の労働許可証 前述した通り、かつての2年間有効の労働許可証では、グリーンカード承認までの必要な期間をカバーしきれないことがしばしばありました。これは、申請者に過度のストレスを与えるだけでなく、申請者の労働力を要する雇用主にとっても大きな課題となっていました。 労働許可証の有効期間が5年へ延長されることは、その状況を大幅に改善し、雇用主、および、申請者双方へ安定をもたらします。雇用主はより安定した労働力を確保でき、申請者は労働許可証の期限に対するプレッシャーを感じずに働くことができるのです。それだけでなく、労働許可証の更新申請が減れば、多くの時間と労力を他の業務に費やせることから、相当な数の移民申請の滞留に悩む米国移民局にとっても救済効果があると言えます。 永住権制度のさらなる変更 今回の変更は、永住権申請の手続きにおいて、様々な改革が進む可能性を示唆しているかもしれません。ここ数年、申請者がより早い段階でステータス変更の申請を始められるよう、議員たちの間で話し合われてきました。 現状では、申請者がステータス変更を申請するためには、申請書類を提出する順番を待たなくてはなりません。例えば、申請者の多いインド国籍者がステータス変更の申請をできるまでには、10年以上もかかることもあり、その間に3回ものH-1ビザの更新が必要になるのです。 これを解消する改革案が実現すれば、このような負担は大幅に軽減され、今回の有効期間5年の労働許可証も、より効果的に利用されるでしょう。こうした案はあくまで推測の域を出ませんが、プロセス遅延の解消、移民労働者の地位保護、米国当局のプロセスの最適化へ向け、前向きな方向性を示しています。 最善の方法を選びましょう 変化し続ける米国移民法を理解するのは簡単なことではありません。ブランドン・バルボ法律事務所では、移民政策の最新動向について、常に目を配り、細心の注意を払っています。その上で、米国での滞在、および、就労資格を確保し、維持するための最適なオプションには何があるのか、何を選ぶべきかなど、情報のご提供や判断のお手伝いをしています。米国移民法に関するご質問は、どうぞ、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
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Eビザが最も発給されている国
ブランドン・バルボ法律事務所では、複雑なEビザの案件を頻繁に扱っています。全てのビザ申請の中で、最も複雑なプロセスがEビザと言えますが、企業や申請者が米国でビジネスを始めるための「はじめの一歩」となる、極めて重要なプロセスですから、避けて通ることはできません。 Eビザは、条約国の貿易家、投資家、そして、特定の駐在員(および、その配偶者・子供)のために設けられているビザで、国際商業の発展に重要な役割を果たしています。細かい財務分析や規定のニュアンスから、とりわけ複雑なビザと考えられていますが、多くの個人、そして家族にとって、米国への道を開くビザでもあるのです。 ここで、Eビザプログラムの興味深いデータをご紹介しますと、実は、日本は一番多くEビザが発給されている国、なのです。2022年、米国国務省は合計16,400件のEビザを日本国籍者に発給しました。この数字は、他国と比べて圧倒的に多く、次に発給数の多い上位4カ国の合計すら上回っているのです:カナダ(4,577)、ドイツ(3,874)、韓国(3,505)、台湾(3,295)。このことから、日本人はEビザを大いに利用することで、日米の経済関係の重要性に着目、実行していることが分かります。 日本国籍者への E ビザ発給数が群を抜いて多いのは、実は今に始まったことではありません。2000年まで遡ると、米国国務省は日本国籍者に対して14,873件のEビザを発給しましたが、これは上位8カ国のEビザ発給数の合計をも上回っているのです。 このデータからも、日本人は長年に渡って、米国でのビジネスや経済発展に重要な役割を果たしてきたことが分かります。 Eビザの要件の複雑さから、多くの弁護士はEビザの取り扱いを敬遠しがちですが、ブランドン・バルボ法律事務所は、複雑なビザプログラムだからこそ、移民法弁護士の見識が求められ、とりわけ日本人からの需要が高いことを理解し、積極的に対応しています。 米国でのビジネスを実現させる上で、Eビザは必要不可欠でありつつも、取得までの道のりは決して容易ではないでしょう。私たちは、Eビザ申請における豊富な経験を活かし、それぞれの企業や申請者の状況を理解しながら、Eビザの取得、そして、米国でのビジネスを実現させるお手伝いをしています。Eビザの詳しいご説明が必要な方、ご相談のある方は、お気軽に当事務所までご連絡ください。
米国外で過ごした日数を取り戻す申請に危機?
近頃急速に、世界中の入国管理、国境当局が、自国を訪問する外国人のパスポートに出入国スタンプを押印しなくなっています。米国では今年から、外国人が入国する際、パスポートに入国スタンプを押印するプロセスを廃止しました。それほど大きな出来事ではないように聞こえますが、就労ビザ保持者にとって、とりわけ、出入国スタンプを証拠に、米国外で過ごした日数分を取り戻すことでビザの期限を最大限に利用出来た、H-1、L-1、R-1保持者にとっては、非常に重大な変更となりました。 証拠としての入国スタンプ 米国移民法では、H-1、L-1、R-1ビザ保持者が米国で滞在出来る期間に上限を設けています。ですが、ビザの有効期間中に米国外で過ごした期間がある場合、その米国外で過ごした日数分だけ、ビザを延長することが認められています。 H、L、Rビザステータスを最大限に活用すべく、米国外で過ごした日数分を取り戻すための申請では、パスポートに押印されたスタンプこそ、出入国を証明する「有力な証拠」の役割を果たしていたのです。 ビザの有効期限を延長するメカニズム この「米国外で過ごした日数を取り戻す申請」とはどういうものなのか、H-1Bビザの例で考えてみましょう。H-1Bビザは最長6年間の滞在が認められていますが、その6年の間に仕事や個人的な理由で出国し、米国外に滞在した期間が仮に合計6ヶ月とします。適切な申請と証拠を提出すれば、ビザステータスを当初の有効期限から6ヶ月延長出来る、というわけです。 しかし、入国スタンプの廃止により、米国外に滞在していた期間を示す、有力な証拠を提出することが出来なくなった今、入国スタンプ以外の方法で、米国外での滞在期間を証明しなくてはならなくなりました。 米国外での滞在期間を証明する、入国スタンプに替わる証拠 入国スタンプの廃止に伴い、米国を出国し、他国に入国したことを証明する有力な証拠が入手出来ない、あるいは、一貫性がない状況に直面していることから、米国外での滞在を証明するためには、積極的に対策を講じていくしかありません。 まず、米国入国後には必ず、Form I-94だけでなく、米国の出入国の履歴が記載されているTravel Historyもダウンロードしましょう。それに加え、渡航時の搭乗券のコピーを保存しておくことも大変重要です。これらは、非移民ビザ申請書(Form DS-160)や移民ビザ申請書(Form DS-260)を記入する際にも大いに役立ちます。 ビザを最大限に活用するために 今回の出入国スタンプ廃止のように、米国移民制度には、単純な内容でありながらも不都合が生じる変更もあります。こうした変更点にうまく対応していくことは、なかなか難しいものです。ブランドン・バルボ法律事務所では、移民制度の複雑さを理解した上で、ビザのメリットを最大限に活かすためのお手伝いをしています。米国内でのステータス延長、米国に滞在するために、どのようなオプションがあるのかなど、ご質問、ご相談のある方は、どうぞ、ブランドン・バルボ法律事務所までお気軽にお問合せください。
20年ぶりに復活するビザステッカーの再認証プログラム
1989年9月、私、ブランドン・バルボがビジネス移民法を始めた頃、移民法の状況は現在とは大きく異なっていました。当時は、米国国内で手続きが出来る、ビザステッカーの再認証プログラムがあり、申請書類とパスポートを米国国務省へ送付するだけで就労ビザのビザステッカーを更新することが出来たのです。つまり、現在のように、数千ドルもの費用をかけて米国外へ渡航し、新たなビザステッカーを申請、承認後に米国へ戻る、というプロセスを踏む必要がなく、コスト面においても、効率的にビザステッカーを更新することが出来ていました。 しかし、2001年9月11日の悲劇的な出来事を機に、移民政策は劇的な変化を遂げ、国家安全保障の名の下、ビザステッカーの再認証プログラムは取り消されることとなりました。 そして、今、20年の時を経て、ビザステッカーの再認証プログラムが復活しようとしています。米国国務省は、今年後半より、まずはH-1ビザを対象に、新たな試験的プログラムを始める準備を進めています。ビザプロセス改革の一環とし、現在、最終調整がなされているところですが、このプログラムが導入されれば、ビザステッカーを再認証するための時間や費用の大幅な節約が期待出来ます。 この試験的プログラムが、予期せぬ問題も起こらず、1年ほど実施された後には、他のビザクラスにも適応される可能性があります。このプログラムの利点は、以下の通りです。 手続きにかかる時間の削減: ビザ保持者はビザステッカーの更新が必要な場合、米国を一時的に離れる必要がありました。これは、個人の生活に支障をきたすだけでなく、雇用主にも影響を及ぼします。 コスト削減: 前述の通り、このプログラムは大幅なコストカットにつながります。海外渡航には多額な費用がかかり、不便も伴います。このプログラムが再び導入されれば、こうしたコストは大幅に削減されるか、あるいは、完全になくなる可能性さえあるのです。 効率性:非常に効率的なプロセスのおかげで、個人や雇用主の貴重な時間を節約することが出来るほか、面接や、膨大な書類作成を必要とする更新方法とは異なり、このプログラムでは必要な書類や手間が少なく済みます。 注意点:再認証の手続き中に、Form I-94が失効しないように! 大変重要な注意点としては、ビザステッカーの再認証プログラムを利用するビザ保持者は、再認証の手続き中に、米国での合法的なステータスを証明するForm I-94が失効しないよう、十二分に注意する必要がある、ということです。ご承知の通り、ビザステッカーは米国への入国を要請する権利を認めるだけの書類であり、一方のForm I-94こそが米国での滞在を認める書類です。もしも、再認証の手続き中にForm I-94が失効した場合は、再認証の申請は却下され、その結果、米国を出国、ビザステッカーを申請、そして、新たなビザステッカーの発給後に米国に戻らなくてはなりませんので、くれぐれもご注意下さい。 再認証プログラムの再導入は、移民政策、そして、多くのビジネスにとって、著しい進歩といえます。この新しい試験的なプログラム、もしくは、変化するビジネス移民法について、ご質問、ご相談のある方は、ブランドン・バルボ法律事務所まで、お気軽にお問合せください。
I-751のプロセス中に、米国市民権を取得
米国市民の配偶者が永住権を取得する際、グリーンカード発給時に婚姻期間が2年未満である場合は、2年間の条件付きグリーンカードが発給されます。この条件を取り外し、10年間有効のグリーンカードへ更新するための手続きを I-751申請といいます。 昨今、米国移民局において、このI-751申請においても、大幅な遅延が生じています。米国移民局でのI-751申請に対するプロセス期間は、以前は8~12ヶ月ほどでしたが、現在では、実に4年近くもの期間を要しているのです。この状況に対し、I-751を申請した永住権保持者には、幸いにも、ステータス(滞在資格)の延長措置が講じられましたが、もうひとつ、考えられる方法があります。それは、米国市民権を取得することです。 グリーンカードの有効期限の延長 米国移民局は、I-751申請者のグリーンカードの期限がより長く延長されるよう、申請書類の受理後に発行するReceipt Notice(受理通知書 / Form I-797)上の記載内容を変更しました。 その変更とは、I-751を提出すると、手元にあるグリーンカードの有効期限が48カ月延長される、というものです。なお、今回の変更前にI-751を提出した申請者であっても、同様に48カ月の延長措置を受けることができます。 この48カ月の延長措置により、 I-751申請の手続きが完了するまでの約4年間は、米国内での就労および米国外への渡航が保証されます。とはいえ、プロセスにこれだけの期間が掛かりますから、条件付グリーンカードの有効期限が90日前になったら、すぐにI-751を申請したほうが良いでしょう。 延長措置の間に、米国市民権を しかしながら、この米国移民局による、48カ月の延長措置とプロセスに要する期間は、本来の目的をほぼ破綻させていると言っても過言ではありません。というのも、米国市民の配偶者として永住権を取得した場合、3年後には米国市民権を申請することができるからです。 つまり、I-751を申請、48カ月の延長措置を受けつつ、プロセスの完了を待つ一方で、I-751申請から1年後に米国市民権を申請、さらには取得も不可能ではない、ということになります。米国移民局も、この状況を考えれば、“プロセス期間4年”の現状に対し、早急に対策を講じる必要があると考えざるを得ないのではないでしょうか。 ブランドン・バルボ法律事務所は、米国でのステータスを合法的に維持することをはじめ、米国市民権取得のお手伝いもしております。複雑な米国移民法の問題に直面している方、長期に渡るプロセスの遅延がご自身やご家族、ビジネスにどう影響を及ぼすか不安に思う方は、お気軽に当事務所までご相談ください。
H-1Bビザに代わるオプションを考える時が来た?
米国企業はこれまで、外国人を雇用する場合に、長らくH-1Bビザを利用してきました。就労ビザのうちで最もよく知られているH-1Bビザは、「特殊技能職」に就くためのスキルや知識を備える専門家を雇用したい場合に用いられる短期就労ビザです。しかしながら、近年では、H-1Bビザの年間発給数を何倍も上回るほどの申請者がおり、H-1Bビザを利用することが難しくなってきています。 H-1B発給枠の内訳 H-1Bビザは、年間の発給数が決められていることから、その枠は例年すぐに埋まってしまいます。現行法によれば、米国政府の事業年度 (10月1日から翌年9月30日まで) ごとに、新規H-1Bビザを65,000枠まで承認できるとしています。このうち、6,800枠は、シンガポールとチリ国籍者用に割り当てられています(これらの申請者はH-1B1ビザを申請する必要があります)。また、米国の修士号および博士号を有する申請者用として、別途、20,000枠が設けられています。 2024年度のH-1Bビザを申請するための抽選には、実に78万1,000人以上もの応募がありました。つまり、抽選で選ばれる確率は10%もなく、かつて、50%ほどの確率だった時代から比べると、大幅に下がっていることが分かります。では、この危機を企業はどう乗り越えているのでしょうか。 H-1Bビザに代わる申請を H-1Bビザの発給数は増えないのにも関わらず、応募者があまりに多いため、多くの企業が代わりの方法を選ぶようになってきました。そのひとつが、永住権をスポンサーする方法です。STEM OPT制度を利用する従業員であれば、合法的に3年間働くことができます。これは、インドもしくは中国国籍者を除き、現在の永住権を取得するまでの期間よりも長い期間であることから、STEM OPT期間中に永住権を取得できる可能性が大いにあります。 他にも、以下のような代替案が考えられます: 米国と通商条約を締結している国の国民はE-1またはE-2ビザを申請する。 オーストラリア国籍者はE-3ビザを申請する。 カナダもしくはメキシコ国籍者はTNビザを申請する。 米国外にある米国法人の親会社、子会社、支社、関連会社に少なくとも1年間勤続した後にL-1ビザを申請する。 また、前述の通り、シンガポールもしくはチリ国籍者には、特別な制度としてH-1B1プログラムがあります 。このH-1B1プログラムでは、チリ国籍者に1,400枠、シンガポール国籍者に5,400枠までの発給が認められています。 このように、“費用、労力、時間を費やした挙句に、確率10%以下”というH-1Bビザの抽選プログラムを利用せずとも、これらの代替案を通じ、就労ビザを必要とする従業員の就労資格を確保できる可能性があるのです。 ブランドン・バルボ法律事務所は、個人や企業のニーズに応じ、どの移民プログラムが最適かを判断するお手伝いをしております。米国移民法の専門家である弊社まで、是非、お気軽にお問合せください。
外国企業が直面する、企業登録の審査中の弊害
外国企業が米国へ投資する、ということは、米国での雇用の機会を生み、雇用を促進し、さらには米国経済の発展に貢献することにつながります。こうした外国企業もまた、米国の繁栄を支えていると言っても過言ではありません。ところが今、米国でビジネスを展開しようとする企業は、ビザ申請の過程で困難に直面しています。これはまさしく、米国にとって発展の機会を妨げているようなものです。 ご存知のとおり、米国大使館の企業登録をすでに完了した企業は、役員、管理職、または専門知識を要する役職に就く従業員のEビザをスポンサーすることが出来ますが、今、最初にEビザを申請する企業とその申請者に、大きな弊害が起きているのです。 企業登録のタイムライン その企業から初めてEビザを申請する場合、まず、米国大使館に企業を登録する手続きが必要です。これを企業登録といいますが、申請時には、企業に関する書類とともに、Eビザ申請者の申請書類を米国大使館へ提出します。提出後の審査期間は、約6週間から12週間とされています。 ビジネスを進める中で、3―4か月という期間は決して短くはありません。大使館の審査中も、新しいビジネスパートナーや米国のスタッフとのビジネスミーティングのために、Eビザ申請者が訪米する必要があるかもしれません。その申請者に有効なパスポートがあれば特に問題があるようには思えませんが、実は、現行の米国当局のシステムによる、大きな弊害が潜んでいるのです。 審査中にも関わらず「拒否」の表示 米国大使館には、申請料が支払われ、申請書類が提出された時点で、ケースのステータスを設定しなくてはならないルールがあります。大使館は、企業登録の申請を受理すると、内部のシステム上で、Eビザ申請者のケースのステータスを「拒否」と設定するのです。これは、このシステム上のステータスには「保留」「審査中」といった選択肢がなく、「拒否」というステータスを選ぶしかないようになっているためです。つまり、審査中にEビザ申請者が米国に入国しようとすると、空港の入国管理官には、システム上で「ビザ申請を拒否された人物」と見えるのです。システム上には「Eビザの企業登録の審査中」といった詳細が表示されないことから、そのEビザ申請者は別室へ送られ、なぜビザが拒否されたのか、なぜ米国に入国しようとしているのか、尋問されることになるのです。 米国へ投資する企業の、有効なパスポートを持つ人々が、こうしたシステムの欠陥のために尋問を受けなくてはならないとは、非常におかしな話なのですが、現状では、入国管理官に事情を説明し、そのまま帰国させられないことを願うしかないのです。 企業登録の審査期間中の訪米は避ける この米国当局のシステムが改善されない限り、審査期間中の訪米は、業務にも大きな支障をもたらしかねませんので、極力避けた方が良いでしょう。どうしても米国へ入国する必要がある場合は、入国管理官へきちんと主張出来ることが前提となります。一度でも米国への入国が拒否されれば、入国拒否の記録は永久的に残り、その後の渡航をより複雑なものにしてしまいます。 ブランドン・バルボ法律事務所では、それぞれの状況に応じ、どのオプションが最適かを判断するお手伝いをしています。企業登録の審査中に訪米する必要がある場合にも、別室での尋問に備えたサポートもしています。Eビザの企業登録の手続きに関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
パブリックチャージルールの寛容化
米国国土安全保障省 (DHS) は、昨年、非米国市民の米国への受け入れを拒否すべきかどうかを考慮する際の指針となるパブリックチャージに関するルールを改定しました。パブリックチャージとは、その外国人が米国の公的扶助を利用する可能性があることをいいます。改定後のルールは2022年12月23日より施行されていますが、その内容はより人道的になり、永住権の申請者をスポンサーする請願者には、どの程度の金銭的な余裕が必要か、どういった場合に共同の請願者を必要とするのか、明確に記されるようになりました。 トランプ政権下で変えられたルール トランプ政権は、1999年から施行されてきたパブリックチャージルールを、永住権申請者 (その家族も含め) をスポンサーしたい請願者に、より厳しく、より難しい状況を強いる内容に改定しました。今回の改定は、トランプ政権前のルールとほぼ同じ内容に戻ったことになります。 アップデートされたForm I-485 新ルール導入に伴い、米国移民局へ提出するForm I-485 (永住権の申請書) にも、申請者が米国滞在中に公的扶助を受ける可能性の有無を判定するための新たな質問が追加されました。新ルールによれば、「審査官はパブリックチャージの判定をする上で、申請者の以下の要素を考慮しなければならない」としています。 – 年齢 – 健康状態 – 家族の状況 – 資産 – 財源 – 経済状況 – 学歴・スキル – 扶養宣誓供述書 (Affidavit of Support) […]
扶養家族のビザステッカーに記載される新たな注釈
米国税関・国境警備局 (USCBP) のシステムの効率化として、ビザ保持者の扶養家族に発給されるビザステッカーの注釈欄に変更がありました。扶養家族の新たなビザステッカー上には、主たるビザ保持者の情報をはじめ、必要最低限の情報が簡潔に注釈化され、空港のUSCBPの入国審査官にも分かりやすい表記となりました。 従来は、例えば、E-1/E-2ビザ保持者の扶養家族のビザステッカーの注釈欄には、Principal Alien(PA/主のビザ保持者の意味)の氏名と、PAの勤務する米国企業の名称が記載されていましたが、変更後は、PAの氏名、PAのビザステッカーの有効期限、さらに「Spouse of PA」「Child of PA」(ビザ保持者の配偶者か子供か)まで記載されるようになりました。これらの情報は、USCBPの入国審査官が、扶養家族のI-94を発給する上で大変役立ちます。 今回の注釈の変更は、扶養家族が米国へ入国する際に起こりうる、様々なトラブルを防ぐことができるほか、思わぬ有効期限が設定されたり、うっかり失効していた、といった問題からも家族を守ることができます。 2022年の初め、USCBPは、まずL、E-1/E-2ビザ保持者の配偶者の、Form I-94上にある「Class of Admission」のステータスに、配偶者 (Spouse) であることを示す「S」を加え、「L2S」、「E1S」、「E2S」と表記するようになりました。この変更により、配偶者が米国で就労するためのプロセスは一気に加速化されました。もし、米国で就労するために、正しい表記のForm I-94が必要な場合は、USCBPへ連絡しましょう。わざわざ米国を再出入国したり、空港へ出向かずとも、電話やメールで問い合わせることができます。 ブランドン・バルボ法律事務所では、米国でのステータス(滞在資格)を合法的に維持するお手伝いをしています。今回の変更は、ビザ保持者の配偶者を取り巻く状況を改善し、米国での就労をよりスムーズにします。ご質問や詳細は、どうぞ、弊社までお気軽にお問い合わせください。
トランプ政権時代の減税措置が段階的に終了: E-2ビザ企業の会計処理への影響
2017年、ドナルド・トランプ前大統領は、米国税制改革法案(Tax Cuts and Jobs Act: TCJA)に署名をしました。この法案には、企業が受けられた優遇措置のひとつに、減価償却費に関するものがあります。法案成立前、企業が固定資産の費用を計上する場合は、その資産の価値の減少を見積もり、耐用年数に応じて分割、それを減価償却費として会計処理をしていましたが、この法案により、企業は対象となる固定資産の減価償却費を即時に全額計上することができるようになりました。しかしながら、この措置は徐々に縮減され、いずれは廃止されることになります。 内国歳入法第 168(k)条により、E-2ビザ企業を含む多くの企業に認められた「即時償却」は、2023年以降、毎年20%ずつ段階的に縮減され、2027年以降は0%となり、最終的には税制改革法案が成立する前の状況に戻ることになります。次の各年1月1日以降に使用が開始される固定資産に対し、減価償却費を計上できる割合は、以下の通りです。 2023 – 80% 2024 – 60% 2025 – 40% 2026 – 20% 2027年以降 – 0% 法改正により、これらの割合が変更される可能性もありますが、E-2ビザ企業は、固定資産の減価償却費の計上は上記の割合で減少していくものとし、対策を考えたほうが良さそうです。なお、2017年9月28日から2022年12月31日までの間に使い始めた固定資産については、まだ100%の減価償却費を一度に計上することができます。 長期の減価償却は、納税額を高くしてしまうため、この措置の廃止は、企業の利益や収益に大きな影響を与えることになります。この措置では、例えば、2022年に20万ドルの高額な固定資産を購入、すぐに使用を開始した場合、予想される減価償却費の合計を一度に計上することができました。すなわち、耐用年数 (10年) として、その固定資産が50% (10万ドル) 減価償却されると見込めば、2022年度の税務申告時に、10万ドルの経費として会計処理できたのです。 ところが、同じ固定資産を購入、仮に2023年2月まで使用を開始しなかった場合、2023年度の税務申告においては、予想される減価償却費全体の80%までしか計上できません。つまり、見込まれる減価償却の額が10万ドルの場合、8万ドルを2023年度に計上し、残りの2万ドルはその後、数年に分けて計上していくことになります。 そして、同じ固定資産を2027年1月1日以降に使用を開始する場合、実際の減価償却費のみ計上でき、予想される減価償却費を追加で計上することはできなくなります。 毎会計年度、固定資産の価値がより高い状態で保たれることになれば、米国に投資するE-2ビザ企業の会計処理に大きな影響を与えることでしょう。当初、10万ドルの価値として減価償却が見込まれた固定資産は、減価償却が完了するまで、より高い価値を保持することになってしまうのです。 […]