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扶養家族は、Eビザステッカーを申請できるの?

最近、米国国務省のForeign Affairs Manual (FAM) が更新され、主たるビザ保持者が米国内でEビザへのステータス変更を承認された場合、その扶養家族が米国大使館および領事館からEビザステッカーを取得できるかどうかについて、具体的に言及していた文言が削除されました。この点について現在何も発表はありませんが、FAMの別のセクションを見ますと、主たるビザ保持者が米国内でステータスを変更した場合でも、その扶養家族はビザステッカーを取得する資格がある、と記されています。これが何を意味するのか、また、扶養家族はビザステッカーの申請をどのように進めるべきか、考えてみましょう。 扶養家族のビザステッカー申請に関するFAMの変更点を明確に 削除された文言を明確にするため、FAMの別セクションである9 FAM 402.1-6を見てみましょう。ここには、主たるビザ保持者が米国内で合法的なステータスを維持している限り、本人がビザステッカーを所持している・していないに関わらず、その配偶者や子供はビザステッカーを申請する資格がある、と明記されています。 この内容を具体的な例で考えてみましょう。例えば、F-1ビザ (学生ビザ) のステータスで滞在中の外国人が、E-2ビザへステータスを変更しました。必ずしも米国を出国し、E-2ビザステッカーを取得する必要はないため、この外国人は出国せず、結果、未だE-2ビザステッカーを所持していません。そして、米国外にいる扶養家族が、今後は米国で一緒に暮らすことを希望しているとします。この場合、扶養家族は、婚姻証明書、出生証明書、主たるビザ保持者のステータス変更の承認書(Form I-797, Notice of Action)などの書類をもって、E-2ビザステッカーを申請することが可能、ということになります。 他の例で言えば、ビジネスのためにB-1ビザ (商用ビザ) ステッカーを利用して入国後、F-1ビザにステータスを変更した外国人の扶養家族も、主たるビザ保持者のForm I-20 (学生資格証明書) を提示することで、F-2ビザステッカーを申請することができる、ということになります。* Form I-20 : 主たるビザ保持者がその教育機関に在籍中である、60日以内に在籍予定である、実習に参加中などを正式に証明する書類。 相互協定がもたらす扶養家族のビザステッカーへの影響 米国と各国との間には相互協定が締結されており、それぞれの国ごとに、発給されるビザクラス、有効期間、条件等が定められています。この相互協定が、扶養家族のビザステッカーの内容に影響を与えることがあります。例えば、主たるビザ保持者と異なる国籍の配偶者がEビザステッカーを取得する際、配偶者の母国もまたEビザ条約国であれば、その母国の相互協定に基づくEビザステッカーが発給されます。つまり、相互協定の内容によっては、配偶者のEビザステッカーは有効期間が制限されていたり、特定の条件が課せられることがあるのです。 ビザステッカーの申請をスムーズに進めるために 扶養家族のビザステッカーの申請やステータスの変更は、慎重な対応が求められます。ブランドン・バルボ法律事務所は、ご家族の状況、移民法や協定に基づき、最適な方法を共に検討し、ご家族が米国で一緒に暮らせるようサポートしています。ご質問のある方は、まずはお問い合わせください。

永住権をスポンサーする企業に求められる、新たな『支払い能力』の要件

従業員の移民ビザ、つまり永住権をスポンサーする企業の要件のひとつに「支払い能力」があり、PERM Labor Certificateや移民請願書の提出時から、従業員が永住権を取得する日まで、決められた年収額を支払える財力があることを証明しなければなりません。永住権のプロセスは長期に渡ることから、プロセス中に従業員が転職することは珍しくありませんが、この「支払い能力」の要件は、以前の雇用主の元で永住権申請を開始し、在留資格/ステータス変更(Adjustment of Status/AOS)の審査期間中に転職してくる従業員のケースでも適用されます。 2024年、米国移民局は、従業員が永住権申請中に転職した場合のプロセスについて新たなガイダンスを発表しました。今回の変更は、米国企業や米国で働きながら永住権取得を目指す従業員双方に影響を与えるものとなりました。 2024年の新ガイダンスとは The American Competitiveness in the 21st Century Act (AC21) に基づき、Form I-140(移民請願書)が審査中の従業員も転職することができますが、米国移民局の新たなガイダンスによれば、転職先となる新雇用主は、その従業員が実際に勤務を開始する日からではなく、旧雇用主が請願書を提出した日(優先日。いわゆるPriority Date)から支払い能力があることを示さなければならない、としています。 従業員が新しい仕事にまだ就いていない場合でも、旧雇用主の元で永住権を申請した日付に遡って支払い能力を証明しなければならなくなり、雇用主は永住権申請中の従業員を雇用する際、今後は金銭的な考慮も必要になる、ということになります。 プロセスの仕組み それでは、具体的な例を挙げてみましょう。例えば、1月1日、ある従業員がA社へ就職、かつ、同じ日に、年収10万ドルの設定で永住権の申請書類も提出したとします。この時点で、A社は、申請書類が提出された1月1日から従業員の永住権が承認される日まで、年収10万ドルを月割りにし、その金額を支払える能力があることを毎月証明し続ける必要があります。 もし、その永住権申請中の従業員が、2月1日にB社に転職した場合、B社は、勤務を開始した日からではなく、A社で永住権の申請書類が提出された1月1日からの支払い能力が問われることになります。つまり、B社は当初の申請日からForm I-140請願書の審査期間、ひいては、永住権が承認される日まで、支払い能力があることを示さなければなりません。 注:申請料2,805ドルのプレミアム・プロセッシング・サービス(特急申請)を利用すれば、Form I-140請願書の審査に掛かる期間を15営業日に短縮できますが、プレミアム・プロセッシング・サービスを利用しない場合、審査期間は約10ヶ月掛かることもあります。 正しい選択をするために 雇用主の皆さんは、従業員の永住権をスポンサーするということが、いくつかの財政的および法的な義務を伴う点を予め理解しておく必要があります。ブランドン・バルボ法律事務所は米国ビジネス移民法の専門家として、スポンサー企業の責務を詳しくご説明し、必要な要件を満たすよう、支援しています。 転職してきた従業員、永住権のスポンサーシップ、または「支払い能力」に関する基準についてご質問がある場合は、弊所までお気軽にお問合せください。

企業登録”を維持することの大切さ

Eビザは、米国における雇用を促進し、多額の投資を通じて米国経済に貢献する企業向けに設けられているビザクラスで、米国市場への進出を目指す企業にとって、まさにゲートウェイとなるビザです。 現在、Eビザを利用できるのは、日本を含む、米国と条約を締結している80カ国以上の国の企業です。ただし、日本企業の場合、Eビザの資格を維持するためには、定期的な見直しや従業員の異動にも注意を払うなど、特定のプロセスに従う必要があります。 はじめの一歩。企業を登録するプロセス  日本人の所有する企業がEビザを取得するための最初のステップは、米国大使館に企業を登録するところから始まります。この企業登録のプロセスでは、会社の事業計画、資本や投資の証明、資金源、所有権、給与台帳、財務諸表などが精査され、企業がEビザの資格を満たしているかが審査されます。 資格を備えた企業であると認められ、登録が完了すれば、その企業はEビザプログラムの下、日本人従業員を米国へ派遣し、就労させることが可能になります。ただし、この最初の申請には時間を要し、申請準備に1ヶ月から1ヶ月半、さらにその後、米国大使館による審査に2〜3ヶ月かかることが一般的です。この企業登録が完了していれば、その後に続く申請者の手続きは簡素かつ迅速で、多くの場合、米国大使館でのプロセスは2週間程しかかかりません。 Eビザ企業登録の維持 日本ではプライベート・エクイティ取引が増加傾向にあり、Eビザ企業としての国籍要件に注意する必要があることは、以前のブログでお伝えしましたが、他にも、Eビザの企業登録を維持するためには、米国で働く従業員のステータスに細心の注意を払う必要もあります。その理由は、米国企業でEビザを利用する従業員が少なくとも1名いなくてはならず、仮にEビザ従業員が退職する場合、退職前に別の従業員にEビザを引き継がなくては企業登録が失効する可能性があるためです。言い換えれば、複数のEビザ従業員がいる場合、1名が退職しても企業登録は失効しない、ということになります。 例えば、ある企業の従業員が、その企業で初のEビザを取得、米国で勤務する中、さらに別の従業員を米国へ派遣したい場合、すでにEビザ企業登録は完了しているため、2回目以降の申請は迅速かつ低コストで済みます。一方、Eビザ従業員が1名しかいない企業で、後任者がいないまま、その従業員が退職した場合、後日、新たに別の従業員がEビザを取得したくとも、再度、米国大使館への企業登録から申請し直しとなり、時間もコストもかかることになるのです。 Eビザ企業登録を守るためには 米国企業で複数のEビザ従業員を維持することは、不必要な混乱を避け、企業登録を守るための最善策と言えます。同時に2名のEビザ従業員を確保することが難しい場合、Eビザを保持する従業員のステータスを必ず定期的に確認してください。また、Eビザ従業員の退職や帰国の可能性も視野に入れ、予め後任者を確保しておくことも大事です。スムーズにEビザを引き継ぐことができれば、企業登録を失効させることもなく、結果的にシームレスな事業運営を続けることができるのです。 Eビザ企業登録の維持や移民法に関するサポートが必要な方は、ブランドン・バルボ法律事務所までご相談ください。複雑な移民法に関する手続きや規制に、効率的かつ効果的に対応するための支援を提供いたします。

ステータストラックこそ、ベストプラクティス

従業員の移民ステータスを管理することは、人事担当者にとって非常に大事な任務です。米国移民法は、益々複雑で厳密になっており、法的なトラブルを避けるためには、移民関連の書類を随時確認することが不可欠です。 従業員本人だけでなく、米国で暮らすその家族の分も含め、Form I-94、パスポート、L-1ブランケットビザ従業員のForm I-129Sなど、重要な移民関連の書類を注意深く追跡していくことが法的トラブルを避ける最善策なのです。 定期的な確認がカギ 米国に駐在している従業員が米国移民法に則り、正しいステータスを守り続けるためには、上述した書類以外にも、Form I-797承認書やビザステッカーも含め、移民関連書類の定期的な確認を欠かすことはできません。 よくあるトラブルのひとつが、Form I-94の期限が残り期限の少ないパスポートの期限に合わせられていたことに気づかず、パスポート更新時にForm I-94がすでに失効していたことに初めて気づくケースです。特に、最近では入国審査でパスポートに入国スタンプを押印するプロセスが廃止され、より留意して滞在期限を確認しなくてはならなくなりました。そのため、従業員の滞在資格や期限をしっかりと管理することは、企業にとって益々重要になっているのです。 コンプライアンスを守るための積極的な対策 従業員の滞在期限を確実に把握するには、積極的に追跡、確認する体制を整えることが重要です。例えば、従業員のパスポート情報があれば、CBP(米国税関・国境警備局)のウェブサイトにてForm I-94の有効期限を簡単に調べることができますから、四半期ごとに各従業員のForm I-94を確認する対策を設けることは、大変効果のある方法のひとつです。ただし、ウェブサイトの情報が必ずしも正しいとは言い切れませんので、他の書類とも照らし合わせながら確認して下さい。 また、パスポートの有効期限を確認し、余裕を持って更新するよう、従業員に呼びかけることも大事です。上述の例のように、そのビザクラスに対して最長で認められる滞在期間よりもパスポートの有効期限が短い場合、入国審査官はパスポートに合わせてForm I-94の期限を設定することがよくあります。つまり、従業員の滞在期間が予想よりも短くなっている危険性があるのです。そのため、パスポートの更新手続きを済ませるよう、従業員に早め早めに促す体制を整えれば、こうしたトラブルを回避することができるでしょう。 L-1ブランケットビザを持つ従業員については、ビザステッカーだけでなく、Form I-129Sの有効期限も必ず把握して下さい。日本人のL-1ビザステッカーは最長5年の期間で発給されますが、実際に従業員が米国で合法的に働ける期間は、Form I-129Sの有効期限までです。例えば、L-1ビザステッカーは2029年7月1日まで有効、一方のForm I-129Sは2026年5月10日まで有効の場合、その従業員が米国で就労できるのは2026年5月10日までとなります。このように、L-1ビザステッカーとForm I-129Sの期限がそれぞれで異なるため、これらの期限をより注意して確認する必要があるのです。 コンプライアンスを徹底サポート ブランドン・バルボ法律事務所では、従業員が米国移民法を守ることがいかに重要かを理解し、複雑なビザステータスを管理する人事担当者のお手伝いをしています。各社のニーズに合わせた法的アドバイスを提供し、人事担当者と協力しながら従業員のコンプライアンスを維持することで、事業をスムーズに運営できるようサポートします。従業員の移民ステータスやその管理について、ご質問や疑問のある方は、弊所までお気軽にお問合せ下さい。

プライベートエクイティの取引増加に伴う、日本人駐在員への影響

近年、日本におけるプライベートエクイティや企業変革が増加傾向にあることから、米国に拠点を置く子会社の「Eビザ企業としての資格を維持する」という課題に直面する企業が増えています。日本の親会社の所有権が変わることは、米国子会社のEビザ企業としてのステータスを脅かす懸念事項になりかねないため、積極的に対応していく必要があります。 特に、米国のプライベートエクイティファームが日本企業に対して投資の機会を求める傾向は強まっており、そうした日本企業の米国子会社に影響が生じています。米国事業や駐在員の混乱を避けるためには、Eビザ企業としての資格要件を確実に遵守することが極めて重要です。 プライベートエクイティがEビザの資格に与える影響 資本を効率的に運用したい米国のプライベートエクイティファームにとって、多額の現金を保有していることの多い日本企業は魅力的なターゲットと言え、大規模な株式取得、公開買い付け、買収などを通じて、日本企業の経営権を握る取引を行うことがよくあります。そして、親会社の所有権が変わったことで直接的な影響を受けるのは、米国子会社でEビザを利用している日本人駐在員なのです。 なぜならば、E-1、E-2 ビザともに、米国子会社は日本国籍者または日本法人によって50%以上所有されていなくてはならないという、Eビザの資格要件があるためです。この国籍要件を満たしていなければ、Eビザ駐在員のステータスを維持することはできません。つまり、外国の投資家が日本企業の過半数を所有した場合、米国子会社は国籍要件を満たせなくなり、日本人駐在員のEビザステータスは無効となってしまうのです。よって、駐在員が法的に問題なく米国で働き続けるためには、早急な対応が求められます。 Eビザの資格とコンプライアンスを維持するための移民法的戦略 ビザクラスへの資格をめぐる問題に直面する企業にとって、最も重要な対応策とは、先を見越した計画と戦略的な調整です。効果的な方法のひとつは、影響を受ける駐在員に対し、替わりとなるビザクラスを検討すること。例えば、企業内転勤者用のL-1ビザは、役員、管理職、もしくは専門職の従業員を海外の事業所から米国法人へ異動させる際に利用できるビザで、一部の駐在員には有効な選択肢となりえます。   最近、弊所でも、E-2ビザからL-1ビザへの移行に成功した事例があります。こうしたケースのプロセスでは、まずは、各駐在員の役割や資格を慎重に評価し、L-1ビザの要件を満たしているか確認することが非常に重要です。ただし、すべての駐在員がL-1ビザを取得できるとは限らず、他に適切なビザクラスが該当しない場合、日本へ帰国せざるを得ない場合もあります。 企業のビザ資格の維持 日本のプライベートエクイティ環境が進化する中で、駐在員のEビザの資格を維持するためには、移民法に則った、慎重かつ正確な情報に基づくプランが必要です。ブランドン・バルボ法律事務所は、各企業がこれらの課題に対処し、コンプライアンスと継続性を確保するためのサポートに特化しています。経験豊富なチームが、ビザクラスの変更、戦略的な計画、そして、それぞれのニーズに合わせた解決策をご提案しますので、プライベートエクイティ取引による所有権変更の問題に直面している、日本人駐在員のEビザステータス維持への支援が必要な場合は、どうぞ、お気軽にお問合せください。

バイデン大統領、過去数十年で最大規模の新たな移民政策を発表

先日、バイデン大統領とホワイトハウスは、移民政策に関する抜本的な変更を発表しました。米国へ不法に入国し、米国市民と結婚した配偶者およびその子どもが、今後数か月以内に、米国内で合法的に永住権を申請できるよう計画しているというものです。これは、従来のプロセス上では欠かせなかった「3年から10年間、米国への入国を禁ずる」というルールを覆す、大きな一歩となる計画です。 新たな移民政策の内容とは? これまでは、米国市民と結婚した不法入国者およびその子どもが永住権を申請する場合、はじめに米国を出国する必要があり、いかなる理由であれ、出国後3年から10年間は米国への入国が禁止されていましたが、バイデン政権が発表した新しい移民政策によれば、長期間米国外で過ごさずとも国内で永住権を申請でき、いずれは米国市民権の申請も認められます。 この計画は6月中旬に正式に発表され、50万人以上の人々に影響を与えると予測されています。来たる米国大統領選挙で政権が変わる可能性もあるため、政権交代前にできるだけ多くの該当者がこのプログラムに申請するよう、ラテン系団体は迅速に行動を起こすことでしょう。 大統領選挙の行方が与えうる影響 今度の大統領選挙の結論によっては、今回の改革や他の革新的な移民改革が大きく左右されることは容易に予測でき、その行方は非常に注目されています。バイデン政権では南部国境において強硬路線をとっていましたが、今回の計画は、同政権が実施した改革の中で最も抜本的、革新的な改革と言えます。 一方、ドナルド・トランプ陣営とその支持者たちは、厳格な国境政策および移民政策への回帰を示す、反移民的な論調を繰り返しているため、もしもトランプが2期目の就任を果たした場合、これらの改革が即座に撤回される可能性は極めて高いでしょう。 今回の政策の最大の懸念のひとつは、もしもトランプが大統領に就任し、このプログラムが撤回された場合、申請した人々の名前と居場所は米国移民・関税執行局 (ICE)に共有され、その結果、強制送還の手続きが実施される可能性がある点です。こうしたリスクから、家族がこのプログラムを利用すべきか、不法滞在のプライバシーを守るべきかの選択を迫られることになります。 家族のための正しい選択 このように、移民政策の突然の変更や大統領選挙の行方が、移民とその家族に与える影響は計り知れず、緊急性を要することもあります。バイデン政権による今回の計画は、DACA(若年移民に対する国外強制退去の延期措置:オバマ政権下で導入された移民政策の一つ)をも上回る大きな変更であり、身を取りまく状況や在留資格、市民権への資格が、昨日と今日では一変しうることを浮き彫りにしています。もし、トランプが次の選挙で勝利した場合も、同様に急激な変化をもたらすことになるでしょう。 現在の政策、そして、自身と家族の状況に基づいて、正しい選択をすることが不可欠です。ブランドン・バルボ法律事務所では、個々の状況に応じ、米国政府による政策、プログラム、そして移民法を正しく理解し、何が最適かを選択するためのお手伝いをします。どうぞ、いつでもお気軽にご相談ください。

グリーンカード紛失。米国へ再入国するには?

海外旅行中にグリーンカード紛失 ―これは、米国で暮らす永住権保持者にとっては悪夢も同然です。ですが、実際に海外でグリーンカードを紛失した場合、どうすれば良いのでしょうか? 海外でグリーンカードを紛失した場合と、うっかり米国内にグリーンカードを置いてきた場合とでは違いがあります。 米国へ戻るためには、在留資格の証明が必要ですから、海外でグリーンカードを紛失した場合は緊急な対応を要します。一方、グリーンカードを持たずに米国を出国した場合、米国内の誰かにグリーンカードを取りに行ってもらう、または、航空会社の係員にグリーンカードのコピーを提示、説得し、搭乗を許可してもらうこともできるかもしません。 米国税関・国境警備局 (CBP) は、入国者が必要書類を保持していない場合に罰金を科すこともありますが、実は、必要書類の確認を怠った航空会社のほうが、より罰金を科せられるリスクを負っています。また、実際に罰金を科すかどうかは、CBPの審査官の判断に委ねられています。 グリーンカードなしで搭乗するには 上述の理由から、米国へ戻ろうとする時にグリーンカードがないことに気づいた場合、一番のハードルとなるのが、実は航空会社なのです。航空会社は、乗客が入国に必要な書類を所持しているかどうかを確認する義務があり、仮に、必要書類がないにも関わらず、その乗客の搭乗を許めた場合、多額の罰金を科せられます。 グリーンカードを持たずに渡航した個人にも罰金が科せられることもありえますが、少なくとも入国は許可されるでしょう。そのため、こうした状況に直面した場合は、できれば、グリーンカードのコピーを提示して航空会社を説得することです。もちろん、必ずしも搭乗や入国できる保証はありませんが、どうしてもグリーンカードを手元に用意できない、または、グリーンカードが全く見当たらない場合に試みる価値はあるかもしれません。 グリーンカード紛失後の対処 海外滞在中にグリーンカードを紛失してしまった場合は、直ちに米国大使館または領事館にForm I-131A (Application for Carrier Documentation)を申請してください。これは、米国へ戻る資格があることを航空会社に証明する、一時的な渡航書を発給してもらうための申請書類です。 ただし、このForm I-131Aを申請できるのは、米国外での滞在期間が1年未満で、グリーンカードを紛失、盗難、または破損した場合です。滞在期間が1年以上超える場合は、米国永住権を放棄したと見做される可能性があるため、Form I-131Aは申請しないことが重要です。その代わりに、帰国居住者ビザ(SB-1)を申請する方法がありますので、まずは米国移民法の弁護士に必ず相談してください。 移民法に関する手続きを適切かつ専門的にサポート 米国へ戻ろうとする日の空港で、グリーンカードを紛失した、または、忘れてきたことに気付く、という場面は、想像するだけでもぞっとします。ですが、実際にその場面に直面する人がいることも事実なのです。 ブランドン・バルボ法律事務所では、クライアントの皆様が米国へ問題なく再入国できるよう、最新情報や必要な法的アドバスをお伝えすると共に、必須書類の有無、書類の有効期限など、渡航に必要な状況が整っているか確認するお手伝いをします。包括的なサポートとガイダンスについては、どうぞ、弊所までお気軽にお問い合わせください。

ビザの面接免除の対象者が拡大

米国大使館でのビザ(ステッカー)申請において、面接が免除される措置、すなわち、郵送申請は、COVIDによるパンデミック時に導入された一時的なものでした。それが2024年1月1日からは、米国国務省がビザ申請のプロセス効率化を掲げ、面接免除がむしろスタンダードなプロセスとなるよう、実施の拡大を始めました。これにより、現在、多くの米国大使館および領事館で、ビザの更新に対する面接が免除されるようになりました。 在東京米国大使館、そして、在大阪米国領事館では、ビザの更新申請はもちろん、条件によっては新規にビザを申請する場合でも郵送申請が認められています。しかし、面接免除を認めてもらうためには、十分に準備の整った、説得力ある申請書類を提出することがとても重要です。 新規ビザ申請時の面接免除の対象者とは? 2024年1月1日より、特定の条件を満たせば、新規にビザを取得する申請者であっても、面接が免除されるようになりました。対象となる申請者の条件は、日本(もしくは、他の米国ビザ免除プログラムの対象国)の市民であること、現在日本に合法的に居住していること、過去にビザの面接を受け、B1/B2以外のビザを発給されたことがあること、さらに、新規に申請するビザカテゴリが以下のカテゴリであること、とされています。: C1/D、F、I、M、J、H、O、P、QまたはRビザ Eビザ(既に企業登録が済んでいる場合のみ) Lビザ (Lブランケットビザの申請者は、郵送申請の対象外となります) 上記に加え、過去に犯罪歴がないこと、現在も有効または失効後48ヶ月以内のビザを所持していること、直近のビザが発給されてから今までにビザの申請が却下されていないことも条件となります。 ビザ更新時の面接免除の対象者とは? 面接が免除される対象者の枠が、今回の変更により大幅に広がりましたが、条件に該当するのかどうか、まずは確認してから準備を進めましょう。ビザの更新を郵送で行いたい場合、まず、更新申請は前回発給されたビザと同じカテゴリでなければなりません。そして、「現在もビザが有効もしくはビザ失効後48ヶ月以内である」「直近のビザが発給されてから今までにビザの申請が却下されていない」ことが条件となります。 また、申請者は「日本国籍者または居住者であり、ビザ申請時に日本に滞在している」、「過去にESTAの申請が却下されたことがない」「以前のビザに”Clearance Received”または”Waiver Granted”という注釈がない」「現在のパスポートに記載されている氏名、生年月日、国籍などの個人情報が、以前のビザに記載されていた内容と一致している」といった条件も満たしていなくてはなりません。なお、キューバ、イラン、イラク、リビア、北朝鮮、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンの国籍者については、このプロセスは該当しません。 上記の条件を満たし、かつ、以下のカテゴリのビザを更新する場合は、郵送で申請できます。: B1/B2 C1/D E (既に企業登録が済んでいる場合のみ) F、M、またはJ H、O、P、Q、またはR I 特定のLビザ(Lブランケットビザの申請者は郵送による更新申請の対象外となります) Lブランケットビザの申請者は、現在のところ、郵送によるビザ更新はできませんが、ゆくゆくは郵送申請の対象になる可能性は大いにありそうです。 L-1ブランケットビザの面接免除への可能性 日本国内でのL-1ブランケットビザは、郵送申請の対象ではありませんが、米国在台湾協会(AIT:American Institute in Taiwan)では、最近、L-1ブランケットビザの面接免除を実施するようになりました。これは、日本を含む他の国々において、将来的にはLブランケットビザも面接が免除される対象となる可能性を示しています。 このように、現在、ビザプロセスを効率化させる良い動向が見受けられますが、米国では、今年2024年、ビザのプロセスに関する政策の方向性や進行に大きな影響を与えかねない米国大統領選があります。 現在の政権では、ビザプロセスの遅延を解消するため、今だかつてないほどの様々な取り組みが導入されてきました。しかし、トランプ政権に代われば、こうした移民に関するポリシーやプロセスの変更の多くは後退し、より厳格なガイドラインが新たに導入される可能性が非常に高くなることが予想されます。 ブランドン・バルボ法律事務所によるビザ申請プロセス […]

米国移民局、就労ビザのオンライン申請を開始

米国移民局(USCIS)は、現在、申請プロセスのデジタル化に取り組んでおり、まずは、就労ビザ(H、E、L、O、Rカテゴリーを含む)、および、米国永住権について、オンラインで申請できるよう、準備を進めています。これにより、審査の効率化に、大きな変化をもたらすことが予想されます。 デジタル申請システムへ正式に移行する最初のビザカテゴリーは、H-1Bビザです。今年2月からオンライン化が始まり、H-1Bビザの抽選で選ばれた申請者は、初めてオンラインで申請できることになります。 弊所では、請願書の提出、付随する証拠書類のアップロード、申請費のオンライン決済など、この新たな環境に対応できるよう、すでに準備をしています。このデジタル申請システムは初期段階のため、まだまだ課題はあるものの、プロセスの効率化において、今後、大きな期待が持てると言えそうです。 なぜ、このような変更が? 就労ビザ申請に対する、完全デジタル化へ移行は、突如決定されたものではなく、より効率的かつ合理的なシステムを必要とする米国移民局が、着々と計画してきたものです。米国移民局は、現在、歴史的なバックログなどの課題を抱えており、申請や審査のプロセスを迅速に効率良く行うことで、より良いサービスの提供を強化したい、としています。 最近の米国移民局のプレゼンによれば、デジタル化への移行は、職員のデータ入力の手間を省くだけでなく、就労ビザの申請を行う企業と弁護士の連携を効率化させる目的があることも強調していました。確かに、クライアントの方々や私たちにとって、スムーズな連携作業は非常に重要な要素と言えます。 メリットを最大限に活かす 米国移民局のデジタル申請システムに、主要な要素となる「Company Groups」という、就労ビザを申請する企業と弁護士の双方がオンライン申請に取り組めるよう設計されたシステムが導入されました。これにより、柔軟性、企業と弁護士の協業の促進、効率的なコミュニケーションを期待できるようになります。 一方で、デジタル化へのメリットを最大限に利用するためには、この「Company Groups」の構成や仕組みを正しく理解し、細心の注意を払う必要があります。「Company Groups」には、後から情報を変更できない面もあり、注意深く、適切に設定されていることを確認しなくてはなりません。よって、企業と弁護士が協力しながら、計画的に進めることが大変重要です。 新しいシステムへの期待 デジタル申請システムへの移行は、移民制度を必要とする企業、申請者とその家族、専門家にとって、新たな可能性を切り開く、と言えそうです。ただし、プロセスが合理化される点は非常に魅力的ですが、歴史的なバックログ、プロセス期間の長期化を引き起こしてきた米国移民局のこれまでの姿勢を考えると、慎重に対応していく必要がありそうです。 ブランドン・バルボ法律事務所では、クライアントの皆様が、デジタル申請システムを最大限に利用するための体制を整えています。請願書や証拠書類の提出から、申請費の決済まで、すべてオンライン上で管理し、より費用対効果の高いサービスを提供いたします。ご質問がございましたら、お気軽に弊所までお問い合わせください。  

米国外への渡航制限

現在の永住権申請では、案件数のバックログ、プロセス期間の長期化、その他の課題により、米国内でのステータスや、米国外への自由な渡航に、大きなリスクを伴う状況が続いています。米国移民局が抱える課題については、最近のブログでも述べましたが、これらの課題が、企業、移民、そして、その家族と、どれだけ広範囲に及んで、影響を与えているかを理解することは非常に大事です。 今回は、現在、特に大きな課題となっている2点について述べます。一つ目は、H・Lビザ以外のビザ保持者が、米国内で永住権を申請する場合の渡航許可証の申請、二つ目は、永住権保持者の再入国許可証 (Re-Entry Permit) の申請です。 長く複雑なAdjustment of Status (AOS)  永住権の申請方法のひとつに、米国で面接を受ける方法(在留資格/ステータス変更 (Adjustment of Status / AOS) がありますが、H・Lビザ以外のビザ保持者がAOS申請する場合、審査中も、合法的に米国で働くための労働許可証、米国外へ渡航するための渡航許可証を取得する必要があります。渡航許可証が発給されれば、AOS審査中でも米国外へ自由に渡航出来るようになりますが、この渡航許可証の発給までに、現在、9~10ヶ月も掛かっています。 このため、長期間、米国から出国出来ない状況を見据え、母国にいる家族や、海外出張の業務など、米国外へ渡航する以外の方法で対処、対応出来るよう、事前準備が必要となります。仮に、渡航許可証が発給される前に米国を出国した場合、AOS申請そのものが却下される可能性がありますから、十分にお気をつけください。 なお、HまたはLビザ保持者の場合は、AOS申請後もH・Lビザで渡航が出来るため、渡航許可証を取得する必要はありません。 永住権喪失のリスク 永住権保持者が、仕事やその他の事情により、米国外に長期で滞在しなくてはならない場合、再入国のリスクが生じます。米国当局は、永住権保持者が米国外で、1年間連続して滞在し続けた場合、永住権を放棄した、と見做します。このため、例えば、米国外に3年間の赴任辞令が下りたのであれば、永住権を守るため、米国を離れる前に、再入国許可証を申請する必要があります。   再入国許可証の手続きは、以前であれば、3ヶ月ほどで完了していたところ、現在は完了するまでに約1年半も掛かっています。また、申請する際には、米国移民局が申請書類を受領する時点で、申請者は物理的に米国に滞在していなくてはなりません。そのため、申請のタイミングなど、事前にしっかりと計画を立てる必要があります。再入国許可証の発給を待たずに、米国外での滞在を始めた場合、米国へ戻りたい時に、肝心の許可証が手元に未だないことから、再入国が出来なくなる可能性もあり、さらには、国外での滞在期間によっては、永住権放棄と見做され、永住権を喪失する危険性もあるのです。 ステータスの維持、そして、制限されない渡航のために 家族やビジネス、そして自分自身を守る最善の方法は、米国移民制度に起こりうる、あらゆる弊害に対し、予め備えることです。ですが、それを正しく理解することは、容易ではありません。ブランドン・バルボ法律事務所は、こうした問題に直面しても、乗り越えられるよう、法的な視点からのアドバイスを致します。移民法に関するご相談は、弊社まで、お気軽にお問い合わせください。