米国移民法では、時に、相反するポリシーが存在するために矛盾が生じ、問題になることがあります。このようなグレーゾーンにある問題のひとつに、「E-2ビザ保持者の配偶者 (E-2配偶者) は、許可なく米国で働くことができるのか、それとも、労働許可証の承認を受ける必要があるのか」という、E-2配偶者の就労資格に関するものがあります。これはE-1ビザやE-3ビザには該当しないのですが、よく利用されているビザのひとつ、E-2ビザに関する内容ですから、非常に関心の高い問題です。
まず、米国移民国籍法第214条(e)(6)によると、「司法長官は、外国人配偶者が米国内で就労することを許可すべきである」と述べています。この“許可すべきである”という言い回しは、E-2 配偶者は、労働許可証の承認を得ずとも自動的に米国内で働くことができる、と述べているように解釈できます。
その一方、連邦政府機関で移民案件を担う米国移民局は、これに同意していません。米国移民局のウェブサイトによれば「E-2配偶者は、申請費用とForm I-765(労働許可証の申請書)を提出することで、労働許可を申請してもよい」と記載しています。この文言からは、「E-2配偶者が労働許可証を得ずに働くことは違法である」と述べているように解釈できます。連邦政府機関は労働許可証が必要と言い、法律では必要ないと言う場合、どうしたら良いのでしょうか?
その上、社会保障局がE-2 配偶者に対し、就労資格に関係なく社会保障番号を発給しており、社会保障局があたかも米国移民局より法律を重視しているように見えることも、さらに問題を複雑にしています。
2013年、The Board of Immigration Appealsは「E-2配偶者は就労のためのForm I-765を提出する必要はない」という判決を下しました。「E-2配偶者はそのステータスだけで、すでに就労する権利を持つものとする」という判決に対し、連邦政府は控訴しませんでした。その後も、この問題に関する連邦裁判はいつも和解が成立しているのですが、公式な裁判記録に、連邦政府がこの問題をどう扱うか、はっきりとした結論をあえて残さないための和解なのかもしれません。
こうした背景はあるものの、E-2配偶者にとっての最大の安全策は、やはり、労働許可証を取得することです。仮に取得しないと選択した場合、いくら法律が味方であるとはいえ、米国移民局とトラブルになれば、連邦裁判所に米国移民局を訴えなければなりません。それは、単に労働許可証を申請するよりもはるかに困難なプロセスになります。
ブランドン・バルボ法律事務所は、こうした法律の矛盾をよく認識、把握しています。私たちからのアドバイスは、E-2配偶者が労働許可証を持たずに働くことは、法的なリスクが伴うということです。この問題に関して、ご質問、ご相談がある方は、どうぞ、当事務所までご連絡ください。