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米国外への渡航がもたらす永住権喪失のリスク

米国外で長期に渡って滞在したために、永住権を喪失するという永住権保持者を、昨今、多く見受けるようになりました。海外へ出国したものの、パンデミック下での渡航制限により、予定通りに米国へ戻れず、米国外での滞在が長期化、その結果、永住権喪失、という厳しい状況に陥っているためです。 永住権保持者が米国外に長期で滞在する場合には、米国を出国する “前” に永住権を守るための対策を行うか、米国を出国した “後” に永住権を取り戻すかが考えられますが、そもそも、米国外への渡航が180日以内であれば、通常、何の問題もありません。 問題となるのは、渡航期間が180日を超える場合(特に1年を超える場合)です。この場合は、たとえ、長年米国に居住し、家族や地域社会とのつながりが十分にある人であっても、必ず何かしらの対策を講じなくてはなりません。 米国を出国する “前” の対策とは、永住権を守るための再入国許可証 (Re-Entry Permit) を申請することです。再入国許可証の申請では、指紋採取のプロセスがありますが、パンデミックの影響でプロセスに大幅な遅延が起きていること、遅延にも関わらず、指紋採取のプロセスを省略するといった特別な措置は発表されていないことから、指紋採取の通知書を受け取るまでに数か月を要する場合があります。また、指紋採取は米国内でしか手続きができませんので、出国前にはプロセスを完了させなくてはなりません。よって、「出国前」とは、出国直前ではなく、出国予定の何か月も前を意味していますので、時間に余裕をもって申請するよう、心掛けてください。 一方、米国出国前に再入国許可証を申請しなかった場合(または、許可証の有効期限を越えて米国外に滞在した場合)でも、出来ることはまだあります。それが、帰国居住者ビザ(Returning Resident (SB-1) Immigrant Visa)の申請です。この申請では「米国に戻る意思を放棄していない」「米国外での滞在中、やむを得ない事情で米国へ戻ることが出来なかった」という点を証明しなくてはなりません。それを裏付ける書類としては、米国へ戻るフライトがキャンセルされたことがわかる書類、渡航を阻むほどのロックダウンや天候の悪さに見舞われた情報を提示する、などが考えられます。この申請も完了するまでに数ヶ月を要する可能性がありますが、長期滞在の理由を証明でき、無事に承認を得られるよう、日頃から、証拠書類を収集、保管しておくことが大事です。 いずれのプロセスも時間を要しますし、戸惑うこともあるかもしれませんが、永住権保持者の資格を失わないためには、対策方法を予め、正しく理解しておく必要があります。永住権の維持に関するご質問は、お気軽に、ブランドン・バルボ法律事務所まで、お問い合わせください。

中小企業やレストラン業に求められる米国大使館の新たな方針

昨今、中小企業のオーナーでもあるビザ保持者にとって、ビザの更新はより厳しいものになりつつあります。というのも、米国大使館が新たな方針に則り、その企業で働く、すべての従業員に目を向けるようになったためです。これにより、ビザを無事に更新するためには、すべての従業員が米国で合法的な労働資格を有することを証明しなくてはならないかもしれません。 この新たな方針は1年ほど前から導入された様子で、 今後も継続されることが予想されます。特に、経営者自身がビザを更新する際や、事業拡大のために米国外から人材を呼び寄せようとする際に尋ねられる傾向にありますが、実際に要請を受けているのは、大企業ではなく、中小企業のみのように見受けられます。このことから、中小企業の他にも、例えば、スタートアップ企業、旅行会社、レストランといった業種などに、影響が及びやすい内容と言えそうです。 例えば、経営者がビザを更新する際に、全従業員が合法的な労働資格を有することを証明するよう、求められたとします。その場合、米国大使館は、給与台帳に載っている全従業員のForm I-9だけでなく、各従業員の身分証明書や米国での労働資格を証明する書類の提示も求めます。万一、労働資格のない従業員がいる場合、自身のビザを取得するためには、その従業員を解雇しなければならないかもしれません。大事な従業員を失えば、オペレーションに影響が出るでしょうから、苦渋の決断となることは間違いありません。 米国大使館の新たな要件に備えるためにも、特に中小企業やレストランなどの経営者は、すべての従業員の合法的な労働資格の有無を確認しておきましょう。また、就労ビザを持つ従業員については、雇用時には有効であったForm I-94やビザステッカーが、以来、適切に更新されておらず、そのことがビジネスに陰りを落とすことも大いにあり得ます。よって、それら従業員のForm I-94の期限やビザの更新時期を把握し、かつ、期限内に適切に更新されているかを確認しておく必要もあります。 この新たな方針により、経営者のビザの更新手続きには、以前よりも時間が掛かっていますので、早めに手続きを進めるよう心掛けてください。そして、米国大使館に尋ねられても確実に返答できるよう、全従業員の合法的な労働資格やビザステータスの状況について把握しておいてください。 私たちは、中小企業やレストラン業の味方です。今回のブログでは、今後もビジネスが発展することを願い、米国大使館での最近の動向をお知らせいたしました。こちらの内容に関する詳細やご質問、および、ビザに関するご相談は、ブランドン・バルボ法律事務所まで、お気軽にお問い合わせください。

Eビザ保持者のForm I-94を延長する方法

もしも、Form I-94の有効期限が失効直前であることに気づいた場合、どうしたらよいのでしょう? Form I-94とは、米国入国管理局 (CBP / the U.S. Customs and Border Protection) から発給される正式な入国記録で、米国での滞在資格(ステータス)や滞在期限を証明するものです。以前の記事でも述べましたが、「Form I-94の有効期限を確認し忘れ、気づいた時には失効間近だった」というのは、よくある例です。そうした失効間近のForm I-94を延長するためには、飛行機で米国外へ出国するか、米国移民局へステータスの延長 (I-94の延長) 申請をするか、の2つの方法があります。 とはいえ、どちらの方法も難点があります。米国移民局への延長申請は、承認されるまでに長い時間を要する可能性がありますし、申請料や手数料などの費用も相応に掛かります。一方、米国から飛行機で出国するというと、母国への一時帰国を考える方が多いですが、仕事の都合など、諸々の調整も必要でしょうし、渡航費用もかさむでしょう。 ところが、有効なビザステッカーと、有効期限が十分にあるパスポートがあれば、母国以外の国や、隣接する国へ渡航し、米国に再入国する際、CBPに新しいForm I-94の発給を要請することができるのです。米国に隣接しているメキシコとカナダ、そして、 パナマ、コスタリカ、バハマは、母国以外の渡航先のオプションとして考えられる国々です。これらの国々へのフライトは、アジアやヨーロッパにある母国へのフライト、もしくは、米国移民局への延長申請に掛かる費用と比べれば、はるかに安価に抑えられるでしょう。 注意点としては、メキシコやカナダから米国へ再入国する場合、新しいForm I-94を発給してくれるかどうかは、入国地のCBP審査官の判断に委ねられており、成功する保証はない、という点です。ですが、メキシコやカナダ以外の国から米国へ再入国する場合、コスタリカとパナマ、その次にバハマが、成功率の高い傾向にあります。 これはネット上ではあまり見受けられない方法ですが、失効間近のI-94を延長しなくてはならない、非常に厳しい状況に陥った方々にとって、合理的かつ合法的な方法なのです。また、母国へ行くよりも短期間で済む傾向にありますから、雇用主にとってもメリットのある方法と言えます。なお、この方法は、Eビザ保持者にのみ有効です。Eビザには「米国に入国するたびに、入国日から最長2年間のForm I-94が発給される」という特性があるためです。 Form I-94の有効期限が迫っている場合、新しいForm I-94を入手するために、わざわざ母国に行くのではなく、他国へ飛行機で行く、という選択肢があることを忘れないでください。新しいForm I-94が必ずしも発給される保証はありませんが、多くの場合で成功しています。それぞれのニーズに応じ、どのオプションが最適かの判断をするお手伝いをしておりますので、Form I-94についてお困りでしたら、ブランドン・バルボ法律事務所まで、お気軽にお問い合わせください。

配偶者の就労に関する新しいポリシー

2021年11月12日、米国移民局は、特定のビザホルダーの配偶者が、米国内で就労する際の新たなガイダンスを発表しました。これは、配偶者が労働する際に必要とされる労働許可証(EAD)に関するもので、労働許可証の有無をめぐって起きた集団訴訟の結果が、実に2002年から実施されてきた従来のポリシーを大幅に変更させることになりました。 今回のポリシー変更は、最近発表されたばかりですので、今後さらなる詳しい情報が届くことと思いますが、ここでは、現時点で分かっている内容について記載します。なお、変更内容は、新ポリシーが適用されるビザクラスごとに異なりますので、該当する方は、以下の各項目をご参照ください。 H-4 配偶者 Hビザ保持者の配偶者(H-4配偶者)は、労働許可証が失効する前に更新申請を行うと、その労働許可証の有効期限が自動的に延長されるようになります。ただし、自動延長される期間は、更新申請が承認または却下される日、Form I-94の期限日、あるいは、労働許可証の失効日から180日まで、いずれか早い日までとなります。 この自動延長された労働許可証で働く場合には、有効なForm I-94、 (c26) というカテゴリが記載されている、更新申請の受領通知書 (Form I-797/Receipt Notice)、そして、カテゴリ (c26) が明記されている、失効した労働許可証を提示する必要があります。この内容は、2021年11月12日より、すでに施行されています。 E-1/E-2配偶者とL-2配偶者 E-1/E-2ビザ保持者の配偶者(E-1/E-2配偶者)、および、Lビザ保持者の配偶者(L-2配偶者)は、この新ポリシーにより、労働許可証を申請する必要がなくなります。E-1/E-2配偶者、および、L-2配偶者には、そのステータスそのものに、労働許可が付随しており、主たるEビザ/ Lビザ保持者と同様、Form I-94を提示するだけで、米国内で働くことができる、ということになります。 しかしながら、この新ポリシーは現在すでに有効ではあるものの、完全に導入されるためには、変更点を反映させた規制やシステムなど、連邦政府機関による各種調整が必要です。例えば、社会保障庁は、社会保障番号を取得できる資格内容を更新したり、米国移民局は、Eビザ/ Lビザ保持者の配偶者と子どもを区別したForm I-94の発給を開始しなくてはなりません。集団訴訟の和解合意書によれば、米国移民局は2022年3月10日までに、これらの調整を完了させること、と記載されています。 このような状況を受け、「やはり有効な労働許可証を持っておく方が安全」と考える人も多いでしょう。新ポリシー下では、労働許可証が失効する前に更新申請を行うと、その労働許可証の有効期限が自動的に延長されるようになります。ただし、自動延長される期間は、更新申請が承認または却下される日、Form I-94の期限日、あるいは、労働許可証の失効日から180日まで、いずれか早い日までとなります。 自動延長された労働許可証で働く場合には、以下の書類を提示してください。 E-1/E-2配偶者 有効なForm I-94 (a17) というカテゴリが記載されている、更新申請の受領通知書 (Form I-797/Receipt […]

パスポートの有効期限とForm I-94の有効期限

外国人が米国に入国する際には、空港などにいる税関・国境警備局 (CBP / the U.S. Customs and Border Protection)の入国審査官がパスポートにスタンプを押印しますが、このスタンプはForm I-94(出入国記録)のシンボル的な役割を果たしています。Form I-94とは、米国に滞在する外国人にとって、不可欠、かつ、大変重要な意味を持つもので、米国での滞在期限を証明するものでもあります。よって、Form I-94の有効期限が失効する前に延長申請を手続きするか、米国から出国するか、外国人には、何かしらのアクションを取らなくてはならない義務があります。  Form I-94の有効期限を自ら管理することがいかに重要であるかについては、過去に記述したことがありますので、そちらも併せてご覧ください。 Form I-94の有効期限は、ビザの種類によって決まります。法律上、CBPの入国審査官は、最長、ビザの有効期限まで滞在期間を与えることができる権限を持っていますが、言い換えれば、数ヶ月から数年まで、入国審査官が許可する滞在期間はどの期間でもなり得る、ということになります。 “できる “からと言って、必ずしも最長の期間を与えてくれる保証はないわけですから、外国人は「最長の滞在期間をもらえて当然」と思い込んではいけません。 その例のひとつが、パスポートの有効期限がビザの期間よりも短い場合です。その場合、パスポートの有効期限に合わせてForm I-94の期限も設定されることが非常に多いため、必ず、CBPのウェブサイトにアクセスし、Form I-94の有効期限を確認する必要があります。弊社には、パスポートの失効日が迫り、それと共にForm I-94も同様に失効することに気づいた方々から、よくお問合せがあるのですが、それだけよくある落とし穴なのです。 また、米国での滞在に家族を帯同する場合も注意が必要です。パスポートの有効期限が家族それぞれで異なる場合、家族全員が同じビザ種であるにも関わらず、Form I-94の有効期限もそれぞれで異なる場合があります。「家族全員、同じ期限だろう」と思い込み、実は、家族の誰かの滞在期限がすでに失効していたことに後々まで気づかなかった、という例も多く見受けられます。 これからの季節、年末年始の休暇を海外で過ごす方も多いでしょう。こうした時期に、Form I-94の有効期限に関する問題がよく起こっていますので、くれぐれもご注意ください。パンデミックにより、パスポートの更新手続きは通常よりも時間がかかっています。まずは、パスポートの有効期限を確認、そして、失効の時期が近い場合は、早めに更新の手続きを済ませてください。 Form I-94の有効期限は、まずは空港で、CBPの入国審査官がパスポート上に押印するスタンプの内容をその場で確認すること、その後入国してから、CBPのウェブサイトでForm I-94も必ず確認してください。パスポートの有効期限が近ければ、Form I-94の有効期限も近い可能性があります。Form I-94に関するご相談は、ブランドン・バルボ法律事務所まで、どうぞ、お気軽にお問い合わせください。

永住権申請:最終面接はアメリカ、それとも母国で受けるべき? 選択のポイントとは

永住権申請では、プロセスの最後に実施される面接を、米国内にある米国移民局で受けるか、母国にある米国大使館で受けるかを選ぶことができます。米国で面接を受ける方法を在留資格/ステータス変更 (Adjustment of Status / AOS)、母国で面接を受ける方法を移民ビザ申請 (Consular Processing / CP)といいます。 どちらの方法で面接を受けるかを決める際、考慮すべきポイントがいくつかありますが、単に場所だけの問題ではなく、ビザの種類、現在の居住地、母国の違いによっても異なります。ここでは、見落とされがちなポイントをいくつかご紹介します。  まず、永住権申請中に米国外への渡航が可能かどうかという点が挙げられます。AOS、すなわち米国内で面接を受ける方法を選択した場合、国外へ出国するためには、米国移民局から渡航許可証の発給を受ける必要があります。ですが、発給までには申請から最大6ヶ月ほどかかることから、長期に渡って米国内に足止めされることを懸念し、申請中も米国外への渡航が制限されないよう、AOS ではなく、CPを選ぶ人もいます。 次に、プロセスにかかる時間もポイントとなります。2020年始めの時点では、AOSは約1年、CPは約6ヶ月が目安でした。その後、パンデミックにより、2020年3月から2021年3月までCPのプロセスが止まりました。現在でも、手続きに遅れが出ており、特に中国やインドといった永住権の申請者の多い国では大幅に滞っています。2021年10月現在、AOSのプロセスには約1年、CPには最大で2年かかると推測されています。 また、米国政府の結論に異議を申し立てることができるかどうかという点も重要なポイントです。AOSでは、米国内で面接を受けた結果、永住権の申請が却下された場合でも、連邦裁判所へ不服を申し立てることができます。一方のCPでは、母国の米国大使館で面接を受け、申請が却下された場合、それは最終決定となり、異議を申し立てることはできません。 ところで、現在、米国移民局は、雇用主がスポンサーとなる永住権申請の約90%のAOSケースに対して、面接を免除しています。CPではこのような措置はありませんので、雇用ベースの永住権申請を進める申請者にとっては、AOSかCPかの決め手となる材料かもしれません。ただし、この「面接免除」は、今だけの措置で、長くは続かない可能性も大いにありますので、注意が必要です。こうした、米国政府のその時々のプロセスの仕方、方針、動向もひとつの判断材料になるわけですが、例えば、トランプ政権下では母国での面接を希望する申請者が多く見られ、一方、現在のバイデン政権下では、流れがその逆になっています。当局の動きに合わせて、申請者も動きを変えていることがわかる例と言えます。 米国か、母国での面接か—–。当事務所では、申請者それぞれの状況に応じたアドバイスをしていますが、最終的には、個人の判断に委ねられています。どちらが正しい、ということではありませんので、最適と考える方法を選択してください。 面接場所を選択する判断にお困りの場合は、当事務所までお気軽にお問合せください。個々の状況を詳しく伺った上で、アドバイスをさせていただきます。

グリーンカードと運転免許証の更新

グリーンカードと同様、外国人にとって運転免許証の取得は大変手間のかかるもので、残念ながら、更新をする際も同様に、いくらか手順を踏まなくてはならないことがあります。運転免許証の更新手続きは州によって異なり、こちらで説明するのは、一般的な内容ですので、個々の状況については当事務所までご相談ください。 さて、ほとんどの州では、永住権保持者の運転免許証はグリーンカードの有効期限と同じ有効期限で発給されます。 そして、グリーンカードの期限が失効する際には、更新(または再発給)のための申請書Form I-90を提出しますが、申請すれば自動的に新しいグリーンカードが届くわけではなく、米国移民局の審査を経て、ようやくグリーンカードが発給されます。 ここで問題になるのが、運転免許証の更新です。多くの場合、運転免許証の有効期限はグリーンカードの有効期限に合わせて設定されるため、運転免許証の更新時には、すでに更新されたグリーンカードが必要、すなわち、運転免許証の更新前には新しいグリーンカードが発給されている必要がある、ということになります。 そのため、運転免許証の更新を見据え、まずはグリーンカードの有効期限6カ月前にForm I-90を提出するといった具合に、以前は予めプランする必要がありました。中には、上手くプランが出来ず、結果的にしばらくの間、運転が出来なくなった、という事例も少なからずあったものです。 ところが、2021年1月に発表された米国移民局の新しいポリシーにより、この問題は大いに改善されました。Form I-90を提出した申請者には、2週間程度で受領通知書 (Form I-797) が発行されますが、このForm I-797があれば、現在手元にあるグリーンカードの有効期限が丸1年延長されるようになったのです。 例えば、すでにグリーンカードの期限が失効していても、Form I-797とを併せ持つことで、連邦政府によって有効期限1年延長が認められているわけですから、通常通り、労働許可証や法的な身分証明証として使用できる上、運転免許証の更新にも使用できるわけです。これまでの運転免許証の更新は、州によってはForm I-90の受領通知書を提示すれば更新が出来たり、すでに更新されたグリーンカードを提示しないと更新が出来なかったりと様々でしたから、これは非常にポジティブな変化です。 運転免許証の更新が必要な永住権保持者の皆さんは、まずはForm I-90を提出しましょう。Form I-90の受領通知書 (Form I-797) を用い、新しいグリーンカードを待つ間でも運転免許証の更新をしてください。 グリーンカードや運転免許証の更新に関するご質問は、ブランドン・バルボ法律事務所まで、どうぞお気軽にお問合せください。

E-2ビザ 保持者の配偶者は、労働許可証を取得する必要があるのか?

米国移民法では、時に、相反するポリシーが存在するために矛盾が生じ、問題になることがあります。このようなグレーゾーンにある問題のひとつに、「E-2ビザ保持者の配偶者 (E-2配偶者) は、許可なく米国で働くことができるのか、それとも、労働許可証の承認を受ける必要があるのか」という、E-2配偶者の就労資格に関するものがあります。これはE-1ビザやE-3ビザには該当しないのですが、よく利用されているビザのひとつ、E-2ビザに関する内容ですから、非常に関心の高い問題です。 まず、米国移民国籍法第214条(e)(6)によると、「司法長官は、外国人配偶者が米国内で就労することを許可すべきである」と述べています。この“許可すべきである”という言い回しは、E-2 配偶者は、労働許可証の承認を得ずとも自動的に米国内で働くことができる、と述べているように解釈できます。  その一方、連邦政府機関で移民案件を担う米国移民局は、これに同意していません。米国移民局のウェブサイトによれば「E-2配偶者は、申請費用とForm I-765(労働許可証の申請書)を提出することで、労働許可を申請してもよい」と記載しています。この文言からは、「E-2配偶者が労働許可証を得ずに働くことは違法である」と述べているように解釈できます。連邦政府機関は労働許可証が必要と言い、法律では必要ないと言う場合、どうしたら良いのでしょうか? その上、社会保障局がE-2 配偶者に対し、就労資格に関係なく社会保障番号を発給しており、社会保障局があたかも米国移民局より法律を重視しているように見えることも、さらに問題を複雑にしています。  2013年、The Board of Immigration Appealsは「E-2配偶者は就労のためのForm I-765を提出する必要はない」という判決を下しました。「E-2配偶者はそのステータスだけで、すでに就労する権利を持つものとする」という判決に対し、連邦政府は控訴しませんでした。その後も、この問題に関する連邦裁判はいつも和解が成立しているのですが、公式な裁判記録に、連邦政府がこの問題をどう扱うか、はっきりとした結論をあえて残さないための和解なのかもしれません。 こうした背景はあるものの、E-2配偶者にとっての最大の安全策は、やはり、労働許可証を取得することです。仮に取得しないと選択した場合、いくら法律が味方であるとはいえ、米国移民局とトラブルになれば、連邦裁判所に米国移民局を訴えなければなりません。それは、単に労働許可証を申請するよりもはるかに困難なプロセスになります。 ブランドン・バルボ法律事務所は、こうした法律の矛盾をよく認識、把握しています。私たちからのアドバイスは、E-2配偶者が労働許可証を持たずに働くことは、法的なリスクが伴うということです。この問題に関して、ご質問、ご相談がある方は、どうぞ、当事務所までご連絡ください。

E、H、Lビザ保持者の配偶者のための労働許可証

外国人が米国で就労する際、その配偶者も共に渡米することはよくあることですが、配偶者の就労については、自動的に認められているわけではありません。 よくある例は、ある外国人に米国での就職が決まりました。その配偶者も共に渡米したものの、次第に家にいることに飽きてしまい、元々は米国で働くつもりはなかったけれども、仕事を見つけようと考え始める、という状況です。そのような場合、その配偶者は、まず、労働許可証を取得しなくてはなりません。 米国では、永住権のない外国人が合法的に就労するためには、米国移民局が発給する労働許可証を所持し、就労時には、雇用主に労働許可証を提示しなくてはなりません。  労働許可証は、受け取った時点から最長2年間有効です。許可証を更新することは出来ますが、現在、手続きに5〜6ヵ月程を要しているため、カードの有効期限の6ヶ月前には更新のための申請をしたほうが良いでしょう。 なお、E、H、Lビザ保持者の配偶者であれば、労働許可証を申請できますが、他の扶養家族については該当しません。ここでは、E、H、Lビザ保持者の配偶者の労働許可証についてのみ言及していますが、労働許可証は、実はその他のタイプのビザ保持者にも発給されるもので、それぞれのタイプごとに、まったく異なるルールが設けられていますので、注意が必要です。 ところで、物理的には米国に滞在しているものの、母国にある会社でバーチャルに働く場合はどうでしょうか? 労働許可証を持たずに、米国からリモートで出来る仕事を母国で探す、という状況は、近年よく見受けられるようになりました。このような状況の合法性は、少々曖昧なところがありますので、後々トラブルに陥らないよう、安全を期して、労働許可証を取得しておくことをお勧めします。 また、物理的に米国に滞在していれば、米国で税金を納めることになります。そして、税金を納めるためには、ソーシャルセキュリティー番号が必要で、その番号を得るためには、労働許可証が必要になります。 E、H、Lビザ保持者の配偶者の皆さんは、いつでも合法的に就労できるよう、労働許可証を取得しておくことが賢明です。この許可証があれば、米国内での就労はもちろん、事実上、他国での就労も可能になります。最後に、許可証の有効期限6ヶ月前には更新手続きを、くれぐれもお忘れないように。 労働許可証やその他の移民問題についてのご相談は、ブランドン・バルボ法律事務所まで、お気軽にお問い合わせください。

3 年 / 10 年の入国禁止措置が課せられる場合とは??

先月のブログでは、米国に入国するすべての渡航者は、入国時に発行されるForm  I-94をきちんと確認することがいかに重要かについて述べました。オンラインで入手できるForm I-94には、許可された滞在期限が記されていますが、そこで、今月は、Form I-94 の滞在有効期限を無視した場合に何が起こるのか―「 3 年または 10 年の入国禁止措置」について述べます。 3 年および 10 年の入国禁止は、米国移民局が言うところの「不法滞在」に対する措置で、不法滞在とは、許可された滞在期間を超えて米国に滞在していることを意味します。合法的に米国に入国した外国人が許可された期間を超えて滞在した後、出国、そして、再び米国に入国しようとした際に、この入国禁止措置が適用されます。 不法滞在は、Form I-94 の滞在有効期限が失効した日からカウントされます。その不法滞在の期間に応じて、課せられる措置の内容も異なってきます。 – 6ヶ月以上、1年未満の不法滞在の場合、3年間の入国禁止措置が課せられます。すなわち、米国を出国した日から3年間、米国への入国が認められません。 – 1年以上の不法滞在の場合、10年間の入国禁止措置が課せられます。すなわち、米国を出国した日から10年間、米国への入国が認められません。 – 1年以上の不法滞在をした後に、合法的な許可を得ずに米国に再入国した場合は、二度と米国に入国できない永久入国禁止措置が課せられます。 不法滞在の期間が長ければ長くなるほど、重たい措置が課せられるわけですが、このような事態に陥らないよう、Form I-94を定期的にチェックすることがいかに重要であるか、また、それを忘れないように心がけることが本当に大事なのです。最も多いのは、Form I-94をまったく確認せず、後々、自分が意図せずに不法滞在をしていたことに気づき、米国へ再入国できなくなってしまった、という事例です。仕事や家庭が米国にあるにも関わらず、長期間に渡って再入国できなくなれば、非常に厳しい状況となるのは明白です。 過去10年間、この3年・10年の入国禁止措置は、学生にとって大きな問題となりました。多くのビザには有効期限が設定されていますが、学生ビザは米国で学業を続けている限り継続できるため、期限が設定されていません。ですが、学業を続けながら働けるよう、労働許可証を取得すると状況は変わってきます。よって、米国留学中に母国へ一時帰国する際には、必ず自分のステータスを確認する必要があります。再入国できなくなったり、戻ってこられないことを恐れて米国から出られなくなったりするのは避けたいものです。 米国を訪問する外国人が、3年または10年の入国禁止措置を受けてしまうことは、実はよくあることなのです。渡米した際には、常にForm I-94を意識し、滞在期限をよくよく確認してください。Form I-94に関するご質問やご相談は、ぜひ、ブランドン・バルボ法律事務所までお気軽にお問合せください。