ひとたび、米国市場への進出や投資を決断したら、その後は計画に基づいて準備を進めていくものです。その計画には、多くの場合、現地で事業を立ち上げること、主要な人材をE-2ビザで米国へ派遣すること、そして、米国市場でのプランを実行に移すことが含まれているでしょう。 ところが昨今、その計画の初期段階の遅れに悩まされている日本の企業が増えています。というのも、現在、東京の在日米国大使館では、新規のE-2ビザ申請に伴う企業登録の審査に、過去数十年で最も長い期間といえる、およそ4か月もの月日を要しているためです。このボトルネックを緩和するため、一部の案件は在大阪・神戸米国総領事館へ振り替えられているものの、効率良く市場参入を目指したい企業にとっては、依然として大きな懸念事項となっています。 日本の企業の米国への投資が増加傾向に 2025年、日本の企業はこれまで以上に、より積極的に米国市場へ目を向けています。その大きな要因には、トランプ政権下で具体化した関税政策が挙げられます。日本から製品を輸出する代わりに、米国に拠点を構えることで、余分な輸入関税を回避し、世界最大級の市場で安定した財務基盤を確保することーーこの戦略は、長期的な事業の成長に向けて投資をしながら競争力を維持することに役立ちます。 このことから、日米間の新規事業に対する動きは着実に活発化しています。新しい事業の多くは、米国での雇用や、地域および国の取り組みを強化する上で欠かせない税収を生み出します。ところが、案件数の急増により、東京の在日米国大使館の対応は追いつかず、プロセスに遅れが生じ、すべての企業や申請者に影響を与える結果を招いてしまっているのです。 企業登録の概要 米国大使館はE-2ビザを発給する前に、企業が必要な要件、すなわち「多額の投資」「積極的な事業運営」「日本国籍者が過半数以上の所有権を所有していること」などの要件をすべて満たしていることを確認する必要があります。これが「企業登録」と呼ばれるプロセスで、初めてのE-2ビザを申請する場合、東京の在日米国大使館、あるいは在大阪・神戸米国総領事館のいずれかへ、まずは企業を登録するための申請を行います。また、こちらを申請する際には、最初のE-2ビザ申請者の申請書類も同時に提出する必要がありますので、ご注意ください。 企業が要件を満たしていると承認されれば、その企業の情報はシステムに登録されるため、その後に続く追加のE-2ビザ申請では企業の登録手続きは必要ありません。ただし、追加のE-2ビザ申請の際には、企業の最新情報として、財務記録、法的文書、米国での事業展開への積極的な取り組みを示す書類など、明確な証拠書類の提出を求められる場合があります。 これまで、ほとんどの企業が東京の在日米国大使館へ申請してきましたが、昨今では、遅延の影響を受け、在大阪・神戸米国総領事館へ申請する動きも見受けらるようになりました。どちらの申請地を選ぶか、どの書類を提出するか、また、いつどのようにフォローアップするかが、プロセスの遅延や煩雑さを避ける上での大事なポイントと言えます。 課題を乗り越え、スムーズな企業登録の実現 Eビザの企業登録では、申請のタイミングと正確さがとても重要です。適切な準備とサポートがあれば、在日米国大使館での遅延を最小限に抑えることができます。ブランドン・バルボ法律事務所では、米国での事業展開をスムーズに進められるよう、最初に必要となる企業登録とE-2ビザ申請を支援しています。E-2ビザの取得や米国市場への進出についてご質問のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
休暇や出張、そして家族との再会──毎年、数百万人が30日以上アメリカに滞在していますが、その多くは長期滞在を目的としていません。しかし、トランプ大統領の大統領令14159号に基づき、移民法執行への強化が進むにつれ、長期的な滞在の意思がなくとも、「外国人登録法」への遵守が求められるようになっています。この「外国人登録法」は、もともと1940年に可決された法律ですが、現トランプ政権下で復活しつつあるのです。 これらの要件に遵守しない場合、要らぬリスクを招く恐れがあります。外国籍の方々は、この法律が何を求めているのか、誰に適用されるのか、そして、それを無視した場合にどのような影響があるのかを、しっかりと把握しておかなくてはなりません。 外国人登録が必要な方とは? 外国人登録が求められているのは、限られた一部の方々で、対象者は以下のとおりです: カナダ国籍の方:陸路で米国に入国し、入国時にForm I-94(出入国記録)が発給されておらず、30日を超えて滞在する場合 入国審査を受けずに米国に入国した外国籍の方(一部の例外を除く) 米国滞在中に14歳の誕生日を迎えた外国籍の子ども。この場合、保護者が代わりに登録手続きを行う必要があります。 外国人登録の適用から除外される方 多くの方々は外国人登録の適用から除外されています。主な除外者は以下のとおりです: 永住権保持者(グリーンカード保持者):ただし、14歳未満で永住権を取得した場合は、14歳の誕生日から30日以内に登録または再登録が必要です。誕生日の時点で米国外にいる場合は、米国帰国後30日以内に登録を行う必要があります。 指紋採取を受け、I-94(出入国記録)が発給された非移民ビザ保持者(I-94の有効期限が失効している場合も含む) ESTA(ビザ免除プログラム)で入国した方 移民法第212(d)(5)条に基づき仮入国を許可された方 AビザおよびGビザ保持者(外交官・国際機関職員など) 有効な労働許可証(EAD)を所持している方 米国移民局 (USCIS) の特定の申請書を提出し、永住権を申請した方(申請が却下された場合も含む) アメリカ先住民の親を持ち、カナダで生まれ、8 USC §1359の権限の下で生活しているアメリカ先住民の方 外国人登録の手続き方法 登録はオンライン上で行う必要があります。手順は以下のとおりです: USCISオンラインアカウントの作成 まず、myaccount.uscis.gov/create-account にアクセスし、米国移民局 (USCIS)のオンラインアカウントを作成します。 Form G-325R の提出 アカウント作成後、Form […]
米国で滞在・就労するビザ保持者が海外へ渡航するということは、家族との再会、冠婚葬祭への出席、本社での会議など、大事な目的を伴います。しかし、最近の米国への入国審査は、米国での合法的なステータスを脅かす深刻な事態を懸念するほど、厳格化しつつあります。 米国大使館から有効なビザステッカー、もしくは、米国移民局から承認書(Form I-797)が発給されていても、米国への入国を実際に認否するのは、米国税関・国境警備局 (USCBP)、すなわち、空港やボーダーの入国審査官です。米国税関・国境警備局は、米国大使館や米国移民局の結論に捉われることなく、独自の基準で入国審査をします。現在、入国審査の基準はかつてないほど厳しさを増し、必要書類を揃えていても、些細なミスを理由に、別室へ送られ、尋問され、入国を拒否され、場合によっては、数日間にわたって拘束される事態までもが報告されています。 ビザステッカーは「入国の保証」ではなく「入国審査を受けるための許可証」 米国のビザステッカーは、「米国への入国を保証する」ものではなく、「入国審査官の審査を受けることが許されている」ものでしかありません。たとえ、米国移民局が承認書を、さらに米国大使館がビザステッカーを発給している場合でも、入国審査官は米国への入国を拒否することができるのです。 これは従来からのルールではありますが、最近、入国審査官は予想を超えるほど、その裁量を行使しています。適切に手続きをしている人々への攻撃的ともとれる質問、職務内容への疑念、長時間の足止めを私たちも目の当たりにしています。 さらに、グリーンカード(永住権)保持者に対しても、同様の扱いが報告されています。このように、米国に生活基盤のある方は、国外へ渡航する前に慎重に検討する必要があるのです。 リスクを最小限に。渡航する場合の注意点 海外渡航を避けられない場合は、事前の準備が非常に大事です。まずは、渡航スケジュールやフライト情報(出発日、便名、米国再入国予定日など)を、上司や人事担当者と共有してください。また、以下も重要なポイントとなります。 緊急時に必要な連絡が取れるよう、平日の日中に米国に到着するフライトを選ぶ ビザの申請書類で記載されている職務内容と一致する肩書きの記載された名刺を所持する 入国審査官が確認を求める場合に備え、上司の電話番号を控えておく 現在も米国法人から給与を受け取り、申請時と同じ内容・役職で勤務していることを証明できるように備える ビザ申請時の主要な申請書類のコピーを携帯する 米国税関・国境警備局からの電話連絡を想定 米国税関・国境警備局から雇用主へ確認の電話連絡が入る場合に備え、上司や人事担当者は、従業員の以下の情報について回答できるよう準備してください。 役職名 日々の業務内容 部下の有無や人数 グロスの基本年収額 現在、私たちは、人事部がすぐに参照でき、入国審査官に素早く的確に伝えられるよう、従業員に関する情報を1ページ程度に要約した文書の準備を呼びかけています。この文書内には、従業員の氏名、役職、職務内容、給与、所属チームの構成を含めてください。ビザ申請時の書類の内容、従業員本人の説明、雇用主の回答に一貫性があれば、入国審査官からの信頼を得やすくなり、入国拒否のリスクを大幅に減らすことができます。 米国でのステータスを守るために、正しい選択を 現在の入国審査の状況を鑑みると、不要不急の海外渡航は可能な限り控えることが、米国でのステータスを守るための最善策と言えます。渡航のリスクに不安がある場合は、現状をよく理解する弁護士に相談してください。私たちは、入国地で何が起きているかを把握した上で、皆様のステータスを守り、維持するためのアドバイスを提供しています。まずは、お気軽にご相談ください。