米国の移民制度上、必要不可欠な役割を担うグリーンカード。これは、合法的な永住者であることを証明する書類で、多くの場合は、10年ごとに更新する必要があります。ところが、現在、この更新手続きが完了するまでに、1年以上、最近のケースでは2年以上も掛かるという大幅な遅延が起きています。
米国移民局 (USCIS) は、この深刻な遅れに影響を受ける人々を救うための新たな措置として、2022年9月26日より、Form I-90 (グリーンカード更新用の申請書類) の提出後に発行されるReceipt Notice (受領通知書 / Form I-797) があれば、手元にあるグリーンカードの有効期限は24か月延長される、と発表しました。旧ルールでは12ヶ月の延長しか認められていませんでしたので、ある程度は状況が改善したことにはなります。
そもそもグリーンカードの更新は、有効期限の6カ月前からしか申請できません。「24カ月延長措置」が取られる前の旧ルール下では、グリーンカードの有効期限が12か月延長されているにも関わらず、期限内に新たなグリーンカードが発給されず、深刻な状況に陥る永住者が多数いたのです。このたびの「24カ月延長措置」は、合法的に居住する永住者を守るために、絶対的に必要な措置が取られた、ということですが、逆に言えば、「24カ月もの期間をもってすれば、更新が完了するだろう」と言っているようなもので、永住者を危険にさらすほどの大幅な遅延が起きていることには変わりありません。
ところで、大きな頭痛の種となっているのは、更新手続きの遅延だけではありません。移民局の緊急アポイントメントのための予約システムもまた然りです。この緊急アポは、例えば、新たなグリーンカードの発給がどうしても必要な場合などに利用しますが、こうした状況下にある申請者はよく、弁護士に相談しに来られます。相談を受けた弁護士は、移民局のコンタクトセンターに連絡しますが、予約の確保は、なかなか簡単には行きません。なぜなら、単に担当者と話すだけでも数日掛かることがあるためです。メッセージを残せたり、電話を折り返してもらえるシステムはありませんから、担当者に繋がるまで、ひたすら電話を掛け続けるしかありません。そして、ようやく担当者と話せても、最後には「予約を完了するため、移民局から確認の電話連絡がある」と言われます。この確認電話は、掛かってくるまでに数時間から数日を要し、いつ掛かってくるか、全く予測出来ません。万一、電話を受け損ねれば、コンタクトセンターに連絡をするところからやり直しになってしまうのです。
このような非効率極まりないシステムを変えるには、政治家の力を借りるしかないのかもしれません。もしも、皆さんご自身や、身の回りの大切な方がこのような目に遭った時には、地元の政治家に、遅々として進まないプロセスや、頭の痛くなるようなシステムのために、罪のない永住者のステータスがいかに危険にさらされているかを訴えるべきです。
私たちは、米国政府のシステムそのものを変えることは出来ませんが、こうしたプロセスやシステムを熟知していますので、より簡単に、より効率良く進めるため、全力を注いでいます。グリーンカードの申請や更新でお困りの方は、ブランドン・バルボ法律事務所までお気軽にお問い合わせください。