Eビザ保持者の永住権申請 : 長期間、米国を出国できない?

昨年、米国移民局は、永住権を申請するE-1/E-2ビザ保持者が、米国外への渡航が長期間できなくなる内容を発表しました。これは、E-1/E-2ビザ保持者である貿易家、投資家、従業員、その配偶者や子どもにも該当する内容です。

永住権申請の最終プロセスでは面接が実施されますが、その面接を米国で受ける方法を在留資格/ステータス変更 (Adjustment of Status/AOS)といいます。E-1/E-2ビザ保持者がこのAOSを選択した場合、米国移民局より渡航許可証 (Advance Parole/AP) が発給されるまで、米国外への渡航ができなくなります。以前は、AOS申請から3~4ヶ月ほどで渡航許可証が発給されていましたから、米国内に足止めされても、比較的、許容範囲内のものでした。

ところが、米国移民局は昨年、労働許可証の発給プロセスに注力すると発表、これにより、渡航許可証が発給されるまで、実に1年近くも掛かることになり、プロセスが劇的に延長されたのです。中には、渡航許可証が発給される前にグリーンカードが発給されるケースもしばしば見られるほどで、これでは、渡航許可証を申請する意味が全くありません。

「米国外への渡航ができない」ということは、自由に海外旅行へ行けないというだけではなく、申請者が勤める企業側にとっても、海外出張を自在に計画することができず、業務に支障をもたらすことにもつながります。

海外への渡航ができないE-1/E-2ビザ保持者は、どうにか米国を出国しようと試みるかもしれませんが、AOS申請中に米国を出国した場合、申請を放棄したと見做され、永住権申請そのものが却下されます。申請が却下されれば、申請者本人だけでなく、永住権申請をスポンサーしている企業にもリスクをもたらし、厳しい罰則の対象となりますので、くれぐれもご注意ください。なお、参考までにですが、LビザおよびHビザ保持者については、AOS申請中でも、自由に米国を出入国することができます。

米国当局のプロセスを変えることは出来ませんが、私たちは引き続き、当局の対応に翻弄される皆さんにとって、少しでも良い状況となるためのお手伝いをして参ります。そして、深刻な事態に陥ることのないよう、そのリスクを減らすための適切なアドバイスをいたします。ビジネス移民に関するご質問は、ぜひ当事務所までお問い合わせください。

By Brandon Valvo