H-1Bビザに代わるオプションを考える時が来た?

米国企業はこれまで、外国人を雇用する場合に、長らくH-1Bビザを利用してきました。就労ビザのうちで最もよく知られているH-1Bビザは、「特殊技能職」に就くためのスキルや知識を備える専門家を雇用したい場合に用いられる短期就労ビザです。しかしながら、近年では、H-1Bビザの年間発給数を何倍も上回るほどの申請者がおり、H-1Bビザを利用することが難しくなってきています。

H-1B発給枠の内訳

H-1Bビザは、年間の発給数が決められていることから、その枠は例年すぐに埋まってしまいます。現行法によれば、米国政府の事業年度 (10月1日から翌年9月30日まで) ごとに、新規H-1Bビザを65,000枠まで承認できるとしています。このうち、6,800枠は、シンガポールとチリ国籍者用に割り当てられています(これらの申請者はH-1B1ビザを申請する必要があります)。また、米国の修士号および博士号を有する申請者用として、別途、20,000枠が設けられています。

2024年度のH-1Bビザを申請するための抽選には、実に78万1,000人以上もの応募がありました。つまり、抽選で選ばれる確率は10%もなく、かつて、50%ほどの確率だった時代から比べると、大幅に下がっていることが分かります。では、この危機を企業はどう乗り越えているのでしょうか。

H-1Bビザに代わる申請を

H-1Bビザの発給数は増えないのにも関わらず、応募者があまりに多いため、多くの企業が代わりの方法を選ぶようになってきました。そのひとつが、永住権をスポンサーする方法です。STEM OPT制度を利用する従業員であれば、合法的に3年間働くことができます。これは、インドもしくは中国国籍者を除き、現在の永住権を取得するまでの期間よりも長い期間であることから、STEM OPT期間中に永住権を取得できる可能性が大いにあります。

他にも、以下のような代替案が考えられます:

  • 米国と通商条約を締結している国の国民はE-1またはE-2ビザを申請する。
  • オーストラリア国籍者はE-3ビザを申請する。
  • カナダもしくはメキシコ国籍者はTNビザを申請する。
  • 米国外にある米国法人の親会社、子会社、支社、関連会社に少なくとも1年間勤続した後にL-1ビザを申請する。

また、前述の通り、シンガポールもしくはチリ国籍者には、特別な制度としてH-1B1プログラムがあります 。このH-1B1プログラムでは、チリ国籍者に1,400枠、シンガポール国籍者に5,400枠までの発給が認められています。

このように、“費用、労力、時間を費やした挙句に、確率10%以下”というH-1Bビザの抽選プログラムを利用せずとも、これらの代替案を通じ、就労ビザを必要とする従業員の就労資格を確保できる可能性があるのです。

ブランドン・バルボ法律事務所は、個人や企業のニーズに応じ、どの移民プログラムが最適かを判断するお手伝いをしております。米国移民法の専門家である弊社まで、是非、お気軽にお問合せください。

By Brandon Valvo