要約:
L-1ブランケットプログラムは、移民国籍法INA §101(a)(15)(L) および 8 C.F.R. §214.2(l) に基づき、一度承認されたからといって自動的に継続されるものではなく、常に要件を満たし続けていることが前提となる制度です。そのためには、統一された管理体制、年次の財務要件の確認、グループ企業間の関係性の維持と管理、正確な翻訳対応、そして海外拠点との早期連携が重要となります。
L-1ブランケットを取得すること自体は、要件を満たす企業であれば必ずしも難易度の高いものではありません。ですが、重要なのは、取得そのものではなく、承認後も継続的に適格性を維持する点にあります。実際に、「すでにブランケットの承認を受けているから問題ない」と安心し、引き続き要件を満たしているかを確認しないまま、ビザステッカーの申請を続けている場合があります。しかし、そうした油断が結果的に却下につながってしまうのです。
L-1ブランケットは、一度承認されれば永久的に利用できるものではありません。移民国籍法(INA §101(a)(15)(L) )および関連規則(8 C.F.R. §214.2(l))に基づき、現時点においても要件を満たしていることを客観的に証明できなければなりません。
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社内チェックリストの整備
まず、従業員の異動ごとに同一基準で確認できるよう、標準化されたチェックリストとプロセスを整備する必要があります。
主なチェック項目としては、以下が挙げられます。
- 適格な法人関係(親会社・支店・子会社・関連会社)
- 過去3年間のうち、米国外の関連会社で少なくとも1年以上の勤務実績があるか
- 管理職・役員または専門知識の必要な職種として適切な職務内容か
- 最新の財務データ
過去の承認実績や「これまで問題なかった」という感覚に頼るのではなく、「現時点でも要件を満たしている証拠を提示できるか」という観点で、客観的に確認することが不可欠です。
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資格要件を満たす関連会社での勤務実績
日本企業の多くは複数の国で事業を展開し、日本国外への人事異動をさかんに行っています。たとえば、日本からタイへ赴任し、その後アメリカへ異動するケースも珍しくはありません。こうした異動自体は問題ではありませんが、L-1ブランケットビザの要件を満たすためには、海外法人が適格な関連会社であることが前提となります。
企業グループでは、組織再編、株式売却、出資比率の変更などが頻繁に見られますが、これらはL-1の資格要件に直接影響を与える可能性があります。そのため、企業間の関係に変更がないか、毎年定期的に確認する必要があります。
従業員のビザ面接の直前になって問題が発覚すれば、対応が間に合わないこともありえるのです。
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財務要件の年次モニタリング
L-1ブランケットプログラムでは、請願者となる米国法人は、以下の企業規模の要件を継続して満たしていなければなりません。8 C.F.R. §214.2(l)(4)(ii)
- 米国内外に、支店、子会社、関連会社が3つ以上あること
- 次の3つの項目のうち、1つを満たすこと
- 過去12ヶ月間に、少なくとも10人のL-1の承認を得ていること、または
- 米国内にある子会社や関連会社の年間合計売上が、少なくとも2500万ドルに達していること、または
- 米国内で少なくとも1,000人を雇用していること
特に、年間売上高の要件は、企業側がその基準を超えていないことを把握していないケースも見受けられます。
「米国当局がそこまで分かるのか?」と思われるかもしれませんが、提出する税務申告書の内容から現状の売上高は容易に把握できるため、基準を下回れば、ブランケットの資格は失われます。
そのため、米国法人の税務申告書や財務状況を毎年定期的に確認・管理する体制を整えることが重要です。
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正確な書類の事前準備
給与記録の書類は国によって形式が異なります。重要なのは、その国の言語から英語へ直接かつ正確に翻訳することです。たとえば、タイ語の給与明細を一度日本語に翻訳してから英語へ翻訳するのではなく、タイ語から英語へ直接翻訳するべきです。
米国大使館や領事館は、正確で明確な英語の書類を求めます。不正確な翻訳や不自然な表現は疑われかねませんので、海外拠点の給与担当者と早期に連携し、認定された翻訳者に早めに英語翻訳を完了させてもらうなど、計画的な書類準備が重要です。
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職務内容の明確化
L-1A(管理職または役員)の場合は、組織機能を管理する、もしくは専門職の従業員を監督すること、L-1B(専門職の従業員)の場合は、自社の製品・サービス・システムに関する高度な専門知識を備えていることが求められます。
重要なのは肩書きではなく、実際にどのような業務を担うか、です。過度に誇張された職務内容は、かえって審査官の注意を引き、審査を厳しくさせるおそれがあります。部門責任者やグローバルモビリティチームと連携し、表現や説明の仕方に一貫性をもたせ、事実に基づいた正確な職務内容を記載することが大事です。
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グローバルモビリティ部門や内部監査部門との連携
L-1ブランケットビザの運用は、単一部門だけで完結できるものではありません。人事、グローバルモビリティ、財務、内部監査が連携し、定期的な確認体制を構築する必要があります。
具体的には、四半期ごとのコンプライアンスレビュー、年次の企業構造の見直し、企業内転勤の計画は少なくとも3〜4か月前から開始することが望まれます。
準備期間が短ければ、関係者への負担やプレッシャーが増し、情報の不整合や書類不備へのリスクも高まります。早期に準備を開始するほど手続きは円滑に進み、申請の精度と成功率も向上させるのです。
コンプライアンス対応の重要性
L-1ブランケットプログラムは、連邦法および関連規則に基づき厳格に運用されています。そのため審査官は裁量で判断するよりも、INAおよび8 C.F.R.の基準を満たしているかどうかを重視し、整理された一貫性のある書類と適格性の明示を求めます。
L-1ブランケットがあることで、企業は従業員を効率的に異動させることができるため、長期的な米国での事業展開を支える上で大変有効な制度と言えるのですが、それは、適格性を毎年維持していることが前提となります。承認後も継続的に管理すべきプログラムとして位置付け、体系化されたシステムを設けて、安定した運用を心がけてください。
L-1ブランケットプログラムの見直しや企業内転勤をご検討の際は、バルボ&アソシエイツまでぜひご相談ください。多国籍企業のコンプライアンス維持を支援し、システムの構築を包括的にサポートいたします。
FAQ
- L-1ブランケットペティションとは何ですか?
L-1ブランケットペティションとは、多国籍企業が自社の企業構造についてあらかじめ米国移民局の承認を取得する制度です。これにより、従業員は個別の請願手続きを省略し、在外の米国大使館または領事館で、すぐさまビザステッカーを申請することができます。
- L-1ブランケット承認の有効期間はどのくらいですか?
ブランケット承認そのものは直ちに失効するものではありませんが、企業は継続的に適格性の要件を満たし続ける必要があります。特に財務基準や企業間の関係性については、常に維持されていなければなりません。
- 米国の売上が2,500万ドルを下回った場合はどうなりますか?
8 C.F.R. §214.2(l)(4)(ii) に定める要件を満たさなくなった場合、L-1ブランケットの資格を失う可能性があります。
- 日本法人からではなくタイ法人から社員を転勤させることはできますか?
可能です。ただし、タイ法人が親会社・子会社・支店・関連会社として適格であり、かつ、その従業員が1年以上の勤務実績を満たしている必要があります。
- L-1転勤の準備はいつから開始すべきですか?
理想的には3〜4か月前から準備を始めることが推奨されます。早い段階で関係部門や海外拠点と連携することで、書類不備や面接の準備不足といったリスクを減らすことができます。