飲酒運転による逮捕とビザステッカーの取り消し

エグゼクティブサマリー:

  • 飲酒運転(DUI)による逮捕は、刑事事件で有罪判決が下される前でも、米国ビザの取り消しにつながる可能性があります。
  • ビザが取り消されると、そのビザを使って米国に再入国することはできません。ただし、米国内での滞在資格については、別途確認が必要です。
  • 米国国務省の外交マニュアルは、飲酒関連の逮捕歴や有罪判決がある申請者に対し、健康診断を受けるよう指示することを定めています。
  • 必要な健康診断を受ける機会がないままビザ申請を拒否された場合は、拒否の理由を確認し、適切な対応を検討することが重要です。

飲酒運転(DUI)で逮捕されると、刑事事件で有罪判決が下される前でも、米国での就労に影響が生じることがあります。米国国務省によってビザが取り消された状態で米国を出国すると、新たなビザを取得するまで米国に戻れなくなる可能性があります。その間、業務に支障が生じるだけでなく、家族と離れて暮らさなければならなくなることもあります。

米国で事業を展開する外国企業にとって、外国人従業員が飲酒運転で逮捕されることは、事業計画に影響を及ぼすリスクの一つです。まず懸念されるのはビザの取り消しであり、その後は、従業員が新たなビザを取得できるかどうかが問題となります。米国国務省の指針で定められた健康診断を受ける機会がないまま、ビザ申請を拒否された事例も報告されているため、特に慎重な対応が求められます。

逮捕後のビザステッカー取り消し

米国国務省の規則では、ビザ申請時にすでに審査された逮捕歴など、一部の例外を除き、過去5年以内の飲酒に関連する逮捕を理由として、ビザを取り消すことが認められています。この手続きは「予防的なビザの取り消し(Prudential Revocation)」と呼ばれます。医学的な理由でビザの発給要件を満たしていない疑いがある場合には、刑事事件で有罪判決が下される前でも、ビザを取り消すことができます。

ビザステッカーは、米国への入国時に入国許可を申請するための書類です。ただし、ビザの有効性と米国内での合法的な滞在資格は別の問題です。認められた滞在期間などは、通常、Form I-94に記載されています。ビザが取り消された場合は、現在の滞在資格や今後の渡航への影響について、移民法を専門とする弁護士に確認する必要があります。特に、米国を出国すると、取り消されたビザでは再入国できないため、新たにビザを申請する必要があります。

手続きには健康診断が含まれる

米国国務省の外交マニュアルには、ビザ申請を審査する際に領事が従うべき指示が記載されています。飲酒に関連する健康診断については、次のいずれかに該当する申請者に対し、指定医による健康診断を受けさせるよう、指示しています。

  • 過去5年以内に、飲酒に関連する逮捕または有罪判決が1回ある場合
  • 過去10年以内に、飲酒に関連する逮捕または有罪判決が2回以上ある場合
  • アルコール問題が疑われる事象がある場合

健康診断では、ビザ拒否の医学的根拠となる飲酒運転関連の有害な行動の有無を評価します。指定医が提出した医学的所見をもとに、最終的なビザ発給の可否を領事が判断します。なお、外交マニュアルには過去に受診歴のある一部の申請者について再受診を免除する例外規定もあります。このように、逮捕記録のみで機械的に判断されるわけではなく、各申請者には個別の医学的評価を受ける機会が与えられているのです。

健康診断を受ける機会がないままビザを拒否された場合

飲酒運転を理由にビザ申請が拒否されたにもかかわらず、健康診断の指示が出されなかった事例が報告されており、手続き上の重大な不備が懸念されます。アルコール関連の医学的欠格が審査に影響したのであれば、必要な健康診断を省略すべきではありません。米国国務省が領事に求めている規定通りに手続きが行われたか、確認が必要です。

米国政府は公表している手続きに従う、そして、申請者は法律や証拠に基づいた判断を受けるべきです。

ビザ申請の拒否通知に記載された理由は、今後の対応を検討するうえで極めて重要です。追加書類の提出や健康診断の受診によって審査が再開される場合もあれば、医学的な理由以外の要因で拒否された場合は、その内容に応じた適切な対処が必要となります。なお、公式な指針には、飲酒運転の逮捕歴がある人が一律かつ永久にビザを取得できなくなるといった規定はありません。

雇用主は移民法上の影響も考慮する必要がある

EビザやL-1ビザで赴任中の従業員が、一時帰国の際にビザトラブルで再入国できなくなれば、仕事や生活が一変してしまいます。家族と離れるだけでなく、米国拠点の立ち上げ遅延や現地責任者の不在など、事業運営にも甚大な支障をきたしかねません。

こうしたリスクを最小限に抑えるには、刑事事件を担当する弁護士と移民法を専門とする弁護士の連携が不可欠です。双方の専門家が連携することで、渡航リスクを事前に把握し、適切な対策を講じやすくなります。また、逮捕記録や大使館・領事館からの通知、渡航計画を確認することは、ビザ面接の準備にも役立ちます。刑事事件の解決はあくまでステップの一部に過ぎず、実際に米国へ再入国できるかどうかは、別途入念に検証する必要があります。

米国を出国する前にビザへの影響を確認しましょう

飲酒運転で逮捕された場合は、海外へ渡航する前に、ビザや米国での滞在資格にどのような影響があるのかを慎重に確認することが極めて重要です。バルボ&アソシエイツでは、ビザの取消通知やビザ申請の拒否通知の内容を確認するとともに、公表されている指針に沿って適正に手続きが行われたかを分析し、今後の対応策をご提案いたします。どうぞお気軽にお問い合わせください。

よくあるご質問:飲酒運転による逮捕、ビザの取り消し、海外渡航

飲酒運転で逮捕されると、有罪判決の前でもビザが取り消されることがありますか?

はい。米国国務省は、刑事事件がまだ係属中であっても、飲酒運転による逮捕後、医学的不適格の可能性を理由にビザを取り消すことがあります。

ビザが取り消されると、米国内での滞在資格も自動的に失われますか?

ビザステッカーの有効性と、米国内での滞在資格は別の問題です。通常、合法的な滞在期間はForm I-94(出入国記録)に記載されています。ビザが取り消された場合は、在留資格や取消通知の内容、逮捕が及ぼす影響について、移民法弁護士に相談し、確認することをお勧めします。

ビザステッカーが取り消された後、海外に渡航することはできますか?

渡航すること自体は可能ですが、取り消されたビザでは米国に再入国できません。再入国には新たなビザの取得が必要となる場合があり、また、その申請が承認される保証はありません。

ビザ申請時、どのような場合に飲酒運転による逮捕を理由に健康診断を受けるよう指示されますか?

米国国務省の外交マニュアルでは、過去5年以内に飲酒に関連する逮捕または有罪判決が1回ある場合、過去10年以内に2回以上ある場合、またはアルコールに関する問題が疑われる事情がある場合に、健康診断を受けるよう指示することが定められています。また、過去に健康診断を受けた申請者については、一定の条件を満たせば、再度の健康診断が免除されることがあります。

健康診断を受ける機会がないまま、ビザを拒否された場合はどうすればよいですか?

まずは、拒否通知に記載された理由をご確認ください。アルコール問題による医学的不適格が疑われているにもかかわらず、必要な健康診断を受ける機会が与えられなかった場合は、公式な指針通りの手続きが行われたかどうかを検証する必要があります。一方で、それ以外の理由で拒否されたのであれば、その原因に応じた個別のアプローチが必要です。どのような手続きが行われたのか、今後どのような対応が可能なのかについて、まずは移民法弁護士へ相談することをお勧めします。

By Brandon Valvo