E-2ビザの更新を成功に導くためにHRができる6つのポイント

エグゼクティブサマリー

人事部門は、E-2ビザの更新申請において、雇用実績、給与記録、事業の発展状況、今後の雇用計画を証明する上で重要な役割を担います。更新申請には、説得性を持たせるため、IRSへの給与税申告書、最新の組織図、事業成長を示す指標などが必要ですが、それには財務部門・経営陣との早期連携が不可欠です。企業は、更新予定の時期の1224か月前から準備を始めることが望まれます。

E-2ビザの更新では、多くの企業が期限に近づいてから準備を始める傾向があります。また、「利益が出ていれば更新も問題ないだろう」と、楽観的に考えてしまうケースも少なくありません。

しかし、E-2ビザの更新に必要なのは、楽観的な見通しではなく、客観的な書類です。米国政府は、米国移民法(INA)第101(a)(15)(E)およびEビザの要件に基づき、企業が現在も実体のある事業を継続していること、かつ、米国経済に貢献していることを証明する書類を求めます。事業が投資家本人とその家族の生活を支える程度の規模に留まっていれば問題視されるかもしれませんし、一方、米国内で雇用を生み出し、経済に貢献していることを示せれば、説得力が増し、審査に対して有利に働きます。

更新申請を成功へと導く書類の多くはHRが管理していることも多く、そのためHRは非常に重要な役割を担っているといえます。

  1. 組織図は常に最新の状態に

意外と見落とされがちですが、組織図は更新の審査における重要な書類の一つで、前回の申請時の内容と現在の組織体制が比較されます。古い組織図のままでは、誤解や混乱を招く恐れがあります。

例えば、部署の規模が拡大しているか、管理職のポジションが増えているか、レポートラインに変更があるかといった点も確認されます。

事業が成長すれば、組織体制が変わることは自然なことで、実際の体制と提出する書類の内容が一致していることが重要です。

特に、米国事業を拡大し、日本本社と米国法人の役割分担や管理体制が変わった企業では、最新の組織図を整備しておくことで、事業の成長、組織の成熟度、そして事業の実態を分かりやすく示すことができます。

2. 雇用実績の証明

E-2ビザの更新では、実際に米国で雇用を創出していることが、最も重要な要素の一つとなります。そのため、HRでは以下のような書類を整理・保管しておくことが望まれます。

  • 給与記録
  • オファーレター
  • 職務内容
  • 入社手続きの関連書類
  • 雇用契約書(該当する場合)

また、税務関連書類も重要で、Form 941, Employer’s Quarterly Federal Tax Return(雇用主の四半期連邦税申告書)は、実際に給与が支払われていることや従業員数を示す書類として活用できます。「従業員を雇用しています」と説明するだけでなく、それを裏付ける客観的な証拠を準備しておくことが大切です。

3. 事業成長を裏付けるデータを記録しておく

更新の審査では、単に従業員数だけでなく、事業が成長しているかどうかも確認されます。以下のような成長を示すデータを記録・管理しておけば、更新申請の確度を高めることにつながります。

  • 採用人数の増加
  • 従業員の定着率
  • 部門の拡大状況
  • 求人中のポジション
  • 四半期ごとの従業員数の推移

より広い意味での事業指標(KPI)も役立ちます。初回申請時、事業拡大を計画していた場合は、その計画が、人員増員の進捗も含め、どの程度実現しているかを示すことは重要なポイントとなります。

成長を計画していたにもかかわらず、数年後も従業員数にほとんど変化がない場合、その理由について説明を求められる可能性があります。

4. 利益だけで判断されるわけではない

よくある誤解の一つは、利益だけに注目してしまうことです。もちろん、利益が出ていることはプラス要素ですが、それだけで更新が認められるわけではありません。利益よりもむしろ貸借対照表の健全性を重視されることがあります。新規のE-2事業では、設備投資や事業拡大のため、当面、十分な利益が出ていなくても珍しくはありません。そのため、一時的な利益だけで更新の可否が決まるわけではないのです。

債務が過大で財務基盤が不安定に見える場合、事業の継続性について疑問を持たれる可能性があります。場合によっては、財務状況を改善するため、債務の再編や資本に振り替える対応が必要になることもあります。

そのため、税務申告書の内容は非常に重要で、損益計算書だけを見るのではなく、貸借対照表も見る必要があります。こうした財務書類は経理・財務部門が主に取り扱いますが、HRも早い段階から連携することが重要です。

5. 更新準備は1224か月前から始める

この点は、特に中小企業が苦労しやすいようです。大企業では、更新に必要な情報を管理する体制が整っていますが、中小企業では、そうした体制が十分に整っていない場合があり、その結果、更新の直前になって問題が表面化することがあります。

税務申告書は、後々、事業の実態からかけ離れた内容に作り直すことはできません。また、申請の数週間前になって給与の支払い実績を作り上げることもできません。人員体制の強化、書類の整備、財務構造の見直しが必要な場合には、いずれも時間を要します。

そのため、事業の実態が重視されるE-2ビザの更新では、12年前から準備を始めることをお勧めしています。

十分な準備期間があれば、書類を整えるだけでなく、事業そのものを改善するための時間も確保できるのです。

6. HR・経理・移民弁護士の連携

E-2ビザの更新申請は、一つの部門だけで完結するものではありません。

  • 給与記録や従業員情報を管理している人事部門
  • 税務申告書や貸借対照表などの財務書類を管理している経理・財務部門
  • 事業の成長戦略を担っている経営陣
  • これらの情報を法的要件に沿って整理し、申請へとつなげる移民法の専門家

これらの部門がそれぞれ独立して動いていると、書類の内容に食い違いが生じることがあります。例えば、以下のようなケースです。

  • 人事部門では従業員数を12人としている。
  • 財務部門では、給与支払い対象の従業員数を8名として報告している。
  • 組織図では15のポジションが示されている。

このような不一致は、申請内容の信頼性を損なう恐れがあるため、部門間で十分に連携し、一貫性のある申請書類を作成することが極めて重要です。

E-2ビザの更新で求められるのは、単に事業が存続していることを示すことではありません。事業として継続的に発展していく力があることを示すことなのです。

雇用を創出し、適正な給与を支払い、事業基盤を整えながら着実に成長していることを示せれば、更新申請はより説得力のあるものになります。一方で、裏付ける書類が不十分であれば、実際には順調に事業を運営している企業であっても、不必要な追加審査を受ける可能性があります。

更新時に慌てて準備をするのではなく、日頃から更新を見据えた体制を構築することが、スムーズなE-2ビザの更新につながります。

バルボ&アソシエイツでは、E-2ビザの更新に向けた事前準備から必要書類の整備まで、企業の状況に合わせてサポートしています。更新をご予定の場合は、ぜひお早めにご相談ください。

よくある質問

Q. E-2ビザ更新で雇用創出を証明するためには、どのような書類が役立ちますか?
A.
一般的には、Form 941、給与記録、オファーレター、入社手続きに関する書類、最新の組織図などが有効です。

Q. E-2ビザを更新するためには、事業が利益を上げている必要がありますか?
A.
必ずしもそうではありません。利益は重要な要素ですが、それだけで判断されるわけではありません。事業の継続性や財務状況、投資の経緯、債務水準なども併せ、総合的に審査されます。

Q. Form 941は、なぜE-2ビザ更新で重要なのでしょうか?
A.
連邦税申告書のForm 941は、給与の支払いや従業員数を示す証拠書類になるからです。

Q. E-2ビザの更新準備は、いつ頃から始めるべきですか?
A.
理想的には、更新の時期の1224か月前から準備を始めることをお勧めします。特に、人員体制の強化や財務構造の見直しが必要な場合は、十分な準備期間を確保することが重要です。

Q. 小規模な事業でも、E-2ビザを更新できますか?
A.
はい、更新できる可能性はあります。ただし、事業が単なる生計維持のためのものではなく、経済的な貢献や雇用創出が期待できる事業であることを示す必要があるため、より慎重に審査される場合があります。

By Brandon Valvo