最近、学生ビザ(F-1ビザ)に関するニュースがメディアを賑わせています。ビザ面接のキャンセルや一部の大学での留学生入学禁止など、F-1ビザをめぐっての混乱が続く中、「本当にアメリカで学べるのか?」と不安に思われる方も多いことでしょう。ですが、実は、米国で合法的に就学する方法は、F-1ビザを取得することだけではないのです。
F-1ビザがなくても就学可能
多くの方々は、米国で学校に通うためにはF-1ビザが必要だと思われています。しかし、必ずしもそうではありません。F-1ビザを取得せずとも、たとえば、E-1やE-2ビザ(通商条約に基づく貿易家、投資家、その従業員や扶養家族)、またはL-2ビザ(企業内転勤のL-1ビザの扶養家族)など、特定のビザを保持していれば、米国での就学は合法的に認められています。
つまり、親がEまたはLビザで米国へ転勤する場合、その子どもは扶養家族として入国でき、その上、幼稚園から、さらには公立高校(K-12)、大学にも通うことができるのです。こちらの方法であれば、F-1ビザに伴う制限や厳しいコンプライアンス要件など、多くの頭痛の種を回避することもできます。
子どもが21歳になると。。。
ただし、こちらの方法には一つ注意すべき点があります。それは、子どもが受給できる扶養家族ビザには年齢制限があり、その子どもが21歳の誕生日を迎える前日までしか扶養家族ビザを利用することはできない、という点です。そのため、21歳以降も米国で通学するためには、子ども自身が主たる申請者となり、多くの場合は、F-1ビザへの切り替えが必要になります。
ですが、こちらのビザクラスの切り替えは、米国内でステータス変更(Change of Status)として申請できる可能性があり、米国をわざわざ出国し、母国の米国大使館・領事館でビザ面接を受ける必要がないかもしれない点はポジティブな面といえます。
今、この情報が特に重要な理由
ここ数ヶ月、各国の米国大使館・領事館では、F-1ビザの面接が一時的にキャンセルされる事態が相次ぎ、面接を受けられるまでの待ち時間も数週間から数か月に及ぶケースまで発生しています。また、学校側が留学生を受け入れることができなくなった例もあります。
こうした不安定な状況は、進学を控えた子どものいる家庭にとって大きな問題となっています。また、多くの大学では、留学生の授業料は州内の学生の2~3倍の金額に設定されていることが多く、留学生の減少は学校の財政面にも深刻な影響を及ぼすことになります。
だからこそ、米国ではF-1ビザなしでも就学が可能であること、そして、場合によってはむしろ良い選択肢でもあることを、ぜひ、知っておいて頂きたいのです。
どのような方に最も役立つか
こちらの方法は、日系企業が従業員を米国に赴任させる際に大変効果的で、特にEビザ・Lビザを利用することの多い飲食業、テクノロジー業、製造業などでは一般的に利用されています。ですが、これらの転勤をプランする人事責任者の方々の中には、「扶養家族はF-1ビザがなくとも米国で就学できる」ことに気づいていない方も実際に多く見受けられます。
また、すでにE・Lビザで滞在している日本人が、日本から家族を呼び寄せる場合にも有益です。米国で就学し、21歳を迎える時には、米国内でF-1ビザへの切り替えが可能という点は、大きな安心材料ともなりえます。
早めのプランがカギ
もしも、子どもが21歳に近づいている場合、少なくとも6〜9か月前には準備を始めたいものです。余裕を持ってステータス変更を申請すれば、滞在資格を失うリスクを避けることもできます。
米国移民制度には例外や複雑な規定が数多くありますが、家族の将来を守るためには、何が可能で何が不可能かなど、正確な情報を知ること、そして、余裕あるプランを立てることが不可欠です。F-1ビザは一般的ではありますが、唯一の方法ではありません。米国で合法的に就学する方法は他にもあり、場合によっては、むしろ最も賢い選択となることもあるのです。ご家族の就学、将来考えられるビザオプションの検討、ステータス変更申請についてご相談のある方は、弊所までお気軽にお問合せください。