企業登録”を維持することの大切さ

Eビザは、米国における雇用を促進し、多額の投資を通じて米国経済に貢献する企業向けに設けられているビザクラスで、米国市場への進出を目指す企業にとって、まさにゲートウェイとなるビザです。

現在、Eビザを利用できるのは、日本を含む、米国と条約を締結している80カ国以上の国の企業です。ただし、日本企業の場合、Eビザの資格を維持するためには、定期的な見直しや従業員の異動にも注意を払うなど、特定のプロセスに従う必要があります。

はじめの一歩。企業を登録するプロセス 

日本人の所有する企業がEビザを取得するための最初のステップは、米国大使館に企業を登録するところから始まります。この企業登録のプロセスでは、会社の事業計画、資本や投資の証明、資金源、所有権、給与台帳、財務諸表などが精査され、企業がEビザの資格を満たしているかが審査されます。

資格を備えた企業であると認められ、登録が完了すれば、その企業はEビザプログラムの下、日本人従業員を米国へ派遣し、就労させることが可能になります。ただし、この最初の申請には時間を要し、申請準備に1ヶ月から1ヶ月半、さらにその後、米国大使館による審査に2〜3ヶ月かかることが一般的です。この企業登録が完了していれば、その後に続く申請者の手続きは簡素かつ迅速で、多くの場合、米国大使館でのプロセスは2週間程しかかかりません。

Eビザ企業登録の維持

日本ではプライベート・エクイティ取引が増加傾向にあり、Eビザ企業としての国籍要件に注意する必要があることは、以前のブログでお伝えしましたが、他にも、Eビザの企業登録を維持するためには、米国で働く従業員のステータスに細心の注意を払う必要もあります。その理由は、米国企業でEビザを利用する従業員が少なくとも1名いなくてはならず、仮にEビザ従業員が退職する場合、退職前に別の従業員にEビザを引き継がなくては企業登録が失効する可能性があるためです。言い換えれば、複数のEビザ従業員がいる場合、1名が退職しても企業登録は失効しない、ということになります。

例えば、ある企業の従業員が、その企業で初のEビザを取得、米国で勤務する中、さらに別の従業員を米国へ派遣したい場合、すでにEビザ企業登録は完了しているため、2回目以降の申請は迅速かつ低コストで済みます。一方、Eビザ従業員が1名しかいない企業で、後任者がいないまま、その従業員が退職した場合、後日、新たに別の従業員がEビザを取得したくとも、再度、米国大使館への企業登録から申請し直しとなり、時間もコストもかかることになるのです。

Eビザ企業登録を守るためには

米国企業で複数のEビザ従業員を維持することは、不必要な混乱を避け、企業登録を守るための最善策と言えます。同時に2名のEビザ従業員を確保することが難しい場合、Eビザを保持する従業員のステータスを必ず定期的に確認してください。また、Eビザ従業員の退職や帰国の可能性も視野に入れ、予め後任者を確保しておくことも大事です。スムーズにEビザを引き継ぐことができれば、企業登録を失効させることもなく、結果的にシームレスな事業運営を続けることができるのです。

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By Brandon Valvo