米国市民の配偶者、両親、21歳未満の未婚の子供が、この直近家族に分類されます。配偶者は、異性でも、同性でも問われません。米国市民の直近家族は、米国市民のその他の家族や、米国永住権保持者の家族の申請とは異なり、永住権の年間発行数に関係なく移住ができるため、非常に短期間で永住権を取得することができます。
申請の手続きについて
Form I-130 (移民ビザ/永住権の請願書) の申請
直近家族として認められる申請者の情報をForm I-130に記載し、スポンサーとなる米国市民が家族を代表して米国移民局へ申請します。この際、Form I-130に付随して、家族関係を証明する証拠書類も一緒に提出しなくてはなりません。
もし、直近家族が米国内に滞在している場合、Form I-130 とともに、Form I-485 (在留資格/ステータス変更の申請書) も一緒に申請すれば、米国内で面接を受けることが可能となります。これが、米国内に居ながらにして、永住権保持者へと在留資格/ステータスを変更する、いわゆる「Adjustment of Status」と呼ばれる申請方法です。一方、米国外にいる直近家族の場合、米国移民局でForm I-130が承認され次第、ケースファイルがNational Visa Center (NVC) へ転送、面接日 が設定されますので、在外米国大使館で面接を受けることになります。この申請方法を「Consular Processing」といいます。
在留資格/ステータスを変更する申請方法 (Adjustment of Status)
在留資格/ステータス変更 (Adjustment of Status)とは、米国移民局にForm I-485 (在留資格/ステータス変更の申請書) を申請することによって、合法的な短期ビザの在留資格、時には不法な在留資格から、永住権保持者へと在留資格、すなわちステータスを変更するプロセスを意味します。14歳以上のすべての申請者は、FBI (米国連邦捜査局) の身元調査を受ける必要があり、最寄のApplication Support Center (ASC) にて指紋採取を完了するよう、後日、米国移民局より通知を受けます。
重要点-Adjustment of Status申請中の渡航と就労について
Adjustment of Statusを申請する際、直近家族は、米国内での就労が認められる労働許可証と、米国外への渡航と再入国が認められる渡航許可証も併せて申請することができます。承認されれば、米国移民局は、いわゆる「コンボカード」と呼ばれる、労働許可証と渡航許可証がひとつになったカードを発行します。
Form I-485とともに渡航許可証の申請書を提出した場合、直近家族は渡航許可証を受領するまで、米国外へ出国することはできなくなります。もしも、渡航許可証を持たずに米国外へ出国した場合、米国に再入国できなくなるためです。なお、これは有効なH-1ビザ、もしくはL-1ビザを持つ直近家族には該当しません。
H-1ビザやL-1ビザを持たない直近家族は、Adjustment of Statusを申請した後は、渡航許可証が発行されるまで米国外へ出国してはいけませんが、一方、H-1ビザやL-1ビザを持つ直近家族については、ビザのステータスおよびビザステッカーが有効、かつ、ビザのスポンサー会社で同様に勤務を続ける限り、渡航許可証を持たずとも、自由に米国外へ渡航、再入国することができます。また、有効なH-4ビザやL-2ビザを持つ直近家族においても、自由に渡航することができます。
Adjustment of Status申請の最後のプロセスは、米国移民局での面接です。米国移民局が面接日を設定しますので、米国市民とその直近家族は、管轄のオフィスで面接を受けなくてはなりません。Adjustment of Statusを申請してから面接までにかかる期間は、申請地域の管轄のオフィスが抱える申請数によりますが、短ければ6ヶ月ほど、長い場合は1年以上かかる場合もあります。
Form I-485 (在留資格/ステータス変更の申請書) の承認
米国移民局は、Form I-485を承認次第、Form I-797という承認書を発行、続けて、Form I-551 (Alien Registration Receipt。いわゆるグリーンカード) を作成、申請者へ郵送します。
在外米国大使館で面接 を受ける申請方法 (Consular Processing)
米国内で面接を受けるAdjustment of Statusに対し、在外米国大使館で移民ビザの面接を受ける申請方法をConsular Processingといいます。こちらの申請方法を選んだ場合、面接は、直近家族の母国にある米国大使館で行われます。
Consular Processingでは、米国移民局にForm I-130 を申請する点まではAdjustment of Status と同じですが、その後のプロセスが異なります。米国移民局は、Form I-130を承認次第、ケースファイルをNational Visa Center (NVC) へ転送します。ケースファイルの受領後、NVCは受領の通知、さらに、移民ビザの申請料を支払うよう、請求書を発行します。そして、申請料がNVCに受領され次第、DS-260という移民ビザの申請書類をオンラインで提出するよう、案内が届きます。
さらに、NVCは、警察証明 (犯罪履歴証明書)、軍歴、婚姻証明書といった、必要提出書類のリストを発行します。DS-260申請完了の確認と、必要書類を受領次第、NVCはケースファイルを該当する管轄の在外米国大使館へ転送すると同時に、面接日を設定します。
管轄の在外米国大使館は、NVCからのケースファイルを受領次第、ケースに関するデータをトラッキングシステムに登録します。直近家族の申請者は、在外米国大使館指定の医師の下で健康診断を受けたのち、面接を受けますが、もし、母国にいない場合は、その面接のために母国へ戻る必要があります。
面接でケースが承認されると、移民ビザが発給されます。直近家族は、移民ビザの発行日から必ず6ヶ月以内に米国へ入国しなくてはなりません。万一、6ヶ月以内に入国出来なかった場合、その移民ビザは無効となります。また、直近家族の申請者が複数いる場合、メインの申請者は、帯同家族よりも先、もしくは同時に入国しなければなりません。
移民ビザ発給後、初めて米国へ入国する際には、米国の国境もしくは空港で検査を受けます。有効性が確認されると、移民ビザ上に入国スタンプが押印されますが、これは移民ビザが有効であり、かつ合法的な米国永住権保持者であると認められたことを意味します。なお、実物のForm I-551 (Alien Registration Receipt。いわゆるグリーンカード) は、後日、米国内の指定の住所まで郵送されます。
重要事項
- 合法的に米国へ入国した後、なんらかの理由で違法滞在になった場合でも、米国市民の直近家族であれば、永住権保持者へとステータスを変更することができます。不法就労や、在留資格の滞在期限を越えての滞在 (オーバーステイ) も、いくつかの例外を除いては免除されます。ですが、もし、不法に入国した場合は、たとえ米国市民の直近家族であっても、ステータスを変更することはできません。
- 米国市民と結婚するために米国へ入国、その後、結婚し、米国内でAdjustment of Statusを申請することはできますが、「米国入国時に移民の意思を持てない (移民目的では入国できない) 」とされる非移民ビザに対し、米国政府は大変複雑なルールを設けています。もし、このルールに違反したとみなされれば、米国への入国が永久的に禁止される危険性がありますので、十分な注意が必要です。
- スポンサーとなる米国市民は、直近家族が米国政府の財政負担にならないよう、その直近家族を養えるだけの十分な財源があることを、最新の税務申告書 (タックスリターン) のコピーを提出することで証明しなければなりません。さらに、その直近家族が米国政府に対して低所得者向けのベネフィット等を申請した場合には、それらに対する費用の全額返済を約束する Form I-864 も提出しなければなりません。