宗教活動家の米国永住権申請 Religious Workers (EB-4)

宗教活動家とは、 聖職者、牧師、宗教上の専門職に従事する人、伝統的な宗教儀式や行事に関係する宗教職に従事する人です。米国永住権を申請するためには、米国にある非営利宗教法人に、申請する時点で少なくとも2年以上は所属している必要があります。さらに、申請者は、その宗教法人の聖職者や牧師になるためだけに、または、宗教的専門職に就くためだけに米国へ入国したのでなければなりません。

ステップ1: Form I-360 (移民ビザ/永住権の請願書) の申請

まずは、米国移民局にForm I-360 と付随する証拠書類を提出します。

重要点 – Priority Date (優先日)

米国移民局にForm I-360 を提出した日が、その申請者のPriority Dateとなります。Priority Dateは、雇用ベースによる永住権申請の各優先枠の中で、永住権取得への順番を決定づける、重要な日付でもあります。また、永住権取得への順番は、Priority Dateの日付のほか、その申請者の国籍ではなく、出生地によって割り当てられています。例えば、雇用ベース第二優先枠 (EB-2) の申請者で、日本のパスポートを所持しているけれども、出生地がインドの場合、インド用の第二優先枠としてみなされます。

現在の永住権割り当てシステムでは、Form I-360が承認されても、申請者のPriority Dateの日付が直近になるまで、次のステップの申請書類を提出できないため、待ち時間が生じることになります。

重要点 – Priority Date のチェック

米国国務省は、毎月中旬に、移民ビザ (永住権) の発行可能状況を示す、Visa Bulletinというチャートを発表しています。永住権は、法律で定められた年間発行数の中で、Priority Dateの順に応じて、割り当てられていきます。

移民および国籍法 (INA) 第201条によると、雇用ベースによる永住権発行数は、年間14万人までに制限されています。また、移民および国籍法 (INA) 第202条によると、各国からの移民受け入れは、家族ベースと雇用ベースを併せた、永住権の年間発行数の合計に対し、7% (25,620人) まで、と定められています。

例えば、もし、その優先枠での永住権の供給数に対して、申請者の数のほうが上回ってしまった場合、Visa Bulletin上で、その申請者のPriority Dateが永住権発行可能と示唆されるまで永住権は発行されない、ということになります。Visa Bulletin上では、各優先枠ごとに日付が表示されていますが、この日付をCut-Off Dateと言い、この日付と同日もしくはそれ以前の日付のPriority Dateを持つ申請者のみ、永住権の割り当てが可能となります。

もし、Visa Bulletin上で、日付ではなく「C」と表示されている場合、これはCurrentを意味し、その優先枠の申請者には、現在、永住権の割り当てが可能、という意味になります。逆に、「U」と表示されている場合、これはUnavailableを意味しますので、永住権の割り当ては現在不可能、という意味になります。

I-360 (移民ビザ/永住権の請願書)の承認

米国移民局は、Form I-360を承認次第、Form I-797という承認書を発行します。Form I-360 が承認され、その申請者のPriority Dateが直近になり次第、次のステップへと進むことができるようになりますが、まずは、申請方法として、米国内で在留資格/ステータスを変更するか (Adjustment of Status)、在外米国大使館で移民ビザの面接を受けるか (Consular Processing)、いずれかの方法を選択しなくてはなりません。

ステップ 2: Form I-485 (在留資格/ステータス変更の申請書) の申請 (オプション1)

Form I-360が承認されている、Priority Dateが直近である、そして、米国内に合法的に滞在している—これらの条件を満たしている申請者で、米国内に留まりながら、非移民ビザから移民ビザ (永住権) へと在留資格/ステータスを変更したい場合は、Form I-485を米国移民局へ申請します。その際、申請者の家族 (配偶者と21歳未満の未婚の子供) も米国への移住を希望するのであれば、申請者とともにForm I-485を申請することができます。なお、すべての申請者は健康診断を提出しなくてはなりませんし、14歳以上のすべての申請者は、指紋採取を受け、FBI (米国連邦捜査局) の身元調査を受けなければなりません。

重要点 – 在留資格/ステータス変更 (Adjustment of Status) 申請中の海外渡航と就労について

Form I-485を申請する際、申請者本人とその家族は、米国での就労が認められる「労働許可証 (Employment Authorization Document/EAD) 」と、海外への渡航が認められる「渡航許可証 (Advance Parole/AP) 」を一緒に申請することができます。米国移民局は、「労働許可証 (EAD) 」と「渡航許可証 (AP) 」をひとつに合わせた、コンボカードと呼ばれるカードを発行します。

非移民ステータスの有効期限前までにForm I-485を申請していれば、「In-Status」とみなされ、非移民ステータスの有効期限を過ぎても、米国内に合法的に滞在することができます。ただし、就労については、非移民ステータスの有効期限までとなりますので、就労できない期間を避けるためにも、Form I-485とともにコンボカードへの申請書類は提出するべきです。

Form I-485を申請後、H-1もしくはL-1の有効なビザステッカーをお持ちの方以外は、「渡航許可証 (AP) 」が発行されるまで、米国を出国できなくなります。というのも、「渡航許可証 (AP) 」の発行、取得を待たずに米国を出国しますと、米国へ再入国できなくなるからです。よって、H-1もしくはL-1の有効なビザステッカーをお持ちでない方にとって、「渡航許可証 (AP) 」は、大変重要な書類となります。

H-1もしくはL-1以外の、すべての非移民ビザの方は、米国を出国する前に「渡航許可証 (AP) 」を取得することが、とても重要であることを述べました。一方、有効なH-1ビザもしくはL-1ビザをお持ちの方の場合ですが、ビザのスポンサー会社で変わらずに雇用されており、なおかつビザステッカーが有効である限り、「渡航許可証 (AP) 」の発行を待たずとも、米国外へ渡航することができます。また、H-4ビザもしくはL-2ビザといった帯同家族においても同様で、ビザステッカーが有効である限り、米国外へ渡航することが認められています。

重要点 – FBI (米国連邦捜査局) の身元調査によるプロセスの遅れについて

先にも述べましたように、14歳以上のすべての申請者は、FBIの身元調査を受けなければなりません。この身元調査にかかる期間は、個々人まちまちで、即完了する場合もあれば、数ヶ月、ひいては長期に及ぶ場合もあります。こちらの身元調査が完了しない限り、Form I-485の審査も完了できないため、身元調査に時間がかかれば、その分、Form I-485の審査も遅れることになります。米国移民局より、FBIの身元調査を受ける必要のある申請者全員に、指紋採取のアポイントメント通知が発行されますので、指定された日時に、指定されたApplication Support Centerへお出かけの上、指紋採取を完了してください。

重要点 – 米国移民局での面接実施によるプロセスの遅れについて

2017年10月1日より、雇用ベースによる永住権申請の場合、申請者とその家族は全員、米国移民局の現地管轄オフィスにて面接を受けることが義務化されました。以前のように、面接免除の措置はなくなりましたので、ご注意ください。すべての申請者に面接が実施されるため、Form I-485の審査が完了するまでに相当な時間を要する、すなわち、永住権取得までの時間も長引く、ということになります。

Form I-485 (在留資格/ステータス変更の申請書)の承認

米国移民局は、Form I-485を承認次第、Form I-797という承認書を発行します。そして、Form I-551いわゆるグリーンカードを作成し、申請者へ郵送します。

ステップ 2: 在外米国大使館での移民ビザ面接 (Consular Processing) の申請 (オプション2)

ステップ2でのもう一方の申請方法が、在外米国大使館で移民ビザの面接を受ける方法です。ステップ2で、在留資格/ステータス変更 (Adjustment of Status) (オプション1) を選択した申請者は、米国内で面接を受けるのに対し、移民ビザ面接 (Consular Processing) (オプション2) を選択した申請者は、母国の在外米国大使館で面接を受けることになります。

移民ビザ面接 (Consular Processing) を選択すると、米国移民局はForm I-360の承認後、ケースファイルをNational Visa Center (NVC) へ転送します。ファイル受領後、NVCは、ファイル受領の通知を発行します。もし、その時点で、申請者のPriority Dateが直近でない場合は、Priority Dateが直近になるまでファイルを保管する旨が知らされます。

Priority Dateが直近になると、NVCは、移民ビザの申請費用に対する請求書を発行します。申請費用を受領次第、NVCは、移民ビザ申請に必要な申請書類を提出するための案内のほか、警察証明証 (犯罪履歴証明証)、ミリタリーレコード、婚姻証明証といった、提出しなければならない必要書類のリストを発行します。申請書類および必要書類を受領後、NVCは、ケースファイルを申請者の母国の在外米国大使館へ転送、そして移民ビザの面接日を確定します。

NVCからケースファイルを受領した在外米国大使館は、ケースに関するデータをトラッキングシステムに入力します。申請者は、面接に向けて母国へ戻り、事前に、在外米国大使館が指定する医師の下で、健康診断を受けなくてはなりません。

面接で承認されると、移民ビザステッカーが発給されます。申請者は、移民ビザステッカーの発行日から6ヶ月以内に、米国へ入国しなければなりません。もし、6ヶ月以内に米国へ入国しなかった場合、発給された移民ビザステッカーは無効となります。また、メインの申請者は、家族よりも前に入国するか、もしくは家族と同時に入国しなくてはなりません。

移民ビザステッカー発給後、初めて米国へ入国する際、米国の国境または空港で、申請者は検閲され、移民ビザステッカーが有効か確認されます。移民ビザステッカーに押印される入国スタンプは、移民ビザステッカーが有効であること、そして、申請者は合法的に米国永住権保持者であることを示しています。グリーンカードは、その後、申請者の米国内の自宅まで郵送されます。