米国移民に関する書類・用語への手引き

米国移民上でよく使われる言葉、単語などへの理解を深めるための情報源です。ここでは、ビザステッカーや入国スタンプなど、米国政府より発行される各種書類や、移民事情を管理する米国行政機関についても説明します。

米国移民上、最も基本的かつ重要な書類

以下は、米国への入国、米国での就労、米国へ移住する外国人は知っておくべき、非常に重要な書類です。

米国ビザ

米国のビザ (査証) はステッカー状態をしており、個人のパスポートページに貼られます。このステッカー以外の査証はありません。このビザステッカーには、保持者の写真、国籍や生年月日といった個人情報、ビザの種類や期限のほか、米国政府が保持者の移民情報を管理するためのコードが記されています。

米国ビザステッカーは、米国行きの飛行機に乗り、空港の移民審査官に提示し、米国への入国を要請するために必要な書類です。ビザステッカーに記載されている有効期限は、米国に滞在できる期間を示すものではありませんので、ご注意ください。米国での滞在有効期限は、別途、Form I-94 (出入国記録) が発行されます。

米国ビザステッカーは、在外米国大使館および領事館でのみ、発給もしくは更新されます。米国内では手続きできません。

Form I-94 (出入国記録)

Form I-94 とは、米国への入国者の出入国を記録する書類です。2014年以前は、入国者が手書きで記入、入国審査官が内容を確認後、裏書きしていた、紙状の書類でした。現在は、Form I-94 の電子化に伴い、紙状のForm I-94は廃止され、入国審査官は個人のパスポートに入国スタンプを押印しています。入国後、米国税関・国境警備局 (CBP) のウェブサイト(https://i94.cbp.dhs.gov/I94/#/home) にて、Form I-94 を閲覧、ダウンロードすることができます。

Form I-94 には、ビザの種類や滞在有効期限といった大変重要な情報が記載されています。入国者は、Form I-94 に記載されている滞在有効期限まで米国内での滞在が認められているため、毎回入国後には、ウェブサイトよりForm I-94 をダウンロードし、内容を確認することが非常に大切です。というのも、パスポートに押印される入国スタンプの情報と、Form I-94の情報が異なっていることもよくあり、気づかないまま違法滞在していた、ということもあり得るためです。

Form I-797, Approval Notice (承認書)

Form I-797, Approval Notice (承認書) は、米国移民局 (USCIS) が発行する書類です。この書類は、米国移民局が申請者のステータス変更や延長を承認したことを示す書類となります。他にも、該当する移民ビザ (永住権) カテゴリを通じ、申請者が米国移住への資格を備えているという証明としても用いられます。

さらに、Form I-797, Approval Notice (承認書) は、ビザスポンサーとなる雇用主による、外国人労働者の各種就労ビザへの請願を承認した証明としても用いられます。また、米国移民局への申請時、申請者が米国内で合法的に滞在していた場合は、Form I-797, Approval Notice (承認書) に新しい Form I-94 が含まれて発行されます。

Alien Registration Receipt (グリーンカード)

直訳すると「外国人登録受領」ですが、いわゆるグリーンカードの意味です。保持者は米国内での永住および就労が認められていることを証明します。

労働許可証 (EAD カード)

通称EADカードとして知られる労働許可証は、米国内で就労できる証明証となります。

渡航許可証 (Advance Parole/AP)

渡航許可証は、米国外への短期旅行後に米国へ再入国することを事前に認めた証明証です。渡航許可証は、在留資格/ステータス変更 (Adjustment of Status) の申請中に発行されることの多い書類です。

コンボカード

コンボカードとは、労働許可証と渡航許可証をひとつに併せたカードです。在留資格/ステータス変更 (Adjustment of Status) の申請中に発行されることの多い書類です。

米国移民用語集

以下は、米国移民において、よく使われる用語です

Adjustment of Status (在留資格/ステータス変更): 非移民もしくは短期ビザステータスの保持者が、米国内に滞在しながら、永住権保持者ステータスへと、ステータスを変更するプロセスです。
Alien (外国人): 米国市民以外の人を意味します。

Alien Registration Receipt Card (外国人登録受領カード): グリーンカードの正式名称です。

Conditional Permanent Residence Status (条件付き永住権ステータス): この条件付き永住権ステータスは、次のいずれかの場合に該当します。ひとつは、米国市民との婚姻を通じて永住権を取得した時が婚姻成立から2年未満である場合、その配偶者と子供には、この条件付き永住権ステータスが与えられます。もうひとつは、多額の投資を通じて永住権を取得した場合、その移民投資家には、最初の申請時で、この条件付き永住権ステータスが与えられます。

Dependent (扶養家族、帯同家族): 配偶者もしくは21歳未満の未婚の子供 (実子、養子、配偶者の子供) を意味します。

Diversity Visa Lottery (移民多様化ビザプログラム): 歴史的に見て、米国への移民の数が少ない国々から、最大5万5000人の移住を認める、毎年一回の抽選プログラムのことで、グリーンカード抽選、グリーンカードロッタリーとも呼ばれています。

Dual National (二重国籍): ひとつ以上の国籍、もしくは、ひとつ以上の国のパスポートを持つ人を意味します。米国政府は二重国籍を認めていますが、二重国籍を認めない国もあります。

Green Card (グリーンカード): 外国人登録受領カードの通称。グリーンカードは、米国での合法的な永住権ステータスを持つ証明証となります。米国外への旅行後、米国への再入国が認められていること、米国での就労が可能であること、また身分の証明としても用いられます。グリーンカードの有効期間は10年で、更新が必要です。なお、カード自体には有効期限がありますが、永住権を放棄するか、もしくは移民判事により永住権を剥奪されていない限り、仮にカードが失効したとしても、永住権保持者ステータスであることには変わりありません。

Immediate Relative (直近家族): 米国市民の配偶者、一方の親が米国市民の21歳未満の子供、または21歳以上の米国市民の親を意味します。直近家族の米国永住権申請の場合、グリーンカード取得までの期間は非常に短期間です。

Inadmissible (入国拒否): 米国の法律に違反をし、米国に入国すること、もしくは米国永住権を得ることのできない人のことを意味します。深刻な犯罪歴がある、テロリストの疑いがある、伝染病にかかっている、米国政府にとって財政負担になる可能性がある場合などに該当します。特定の状況下では、この措置を覆せる場合もあります。

Immigrant (移民): 米国永住権保持者として米国内に居住している人を意味します。

Labor Certification (労働認定証): 雇用主がスポンサーになることで米国永住権申請を進める際に必要なプロセス。雇用主はLabor Market Test、すなわち求人活動を通じて、その勤務地のエリアの米国人労働者から、その職務に対する適任者が見つからなかったことを証明しなくてはなりません。

Naturalization (帰化): 外国人が米国市民になるプロセスを意味します。

Non-immigrant(非移民): 米国に永住する意図のない、特定の目的のために、米国で一時的に滞在する人を意味します。

Out-of-Status (在留資格取消/在留資格失効): 在留資格/ステータスの期間やコンディションに違反をした人は、その在留資格/ステータスが取り消された、もしくは失効したとみなされます。違反例としては、不法就労、正当な理由もなく学校を欠席、Form I-94の有効期限を越えての滞在などが挙げられます。

Passport (旅券): 政府より発給される、各国間を行き来するための渡航書類です。

Permanent Resident/Lawful Permanent Resident (米国永住権保持者): 米国での永住を認められた外国人を意味します。グリーンカードは、米国永住権保持者であることを示す証明証です。

Petition (請願): 特定の非移民もしくは移民ビザカテゴリを、その申請者に与えてもらえるよう、書面により正式に要請することを意味します。

Preference Categories (優先枠): 米国永住権申請には、家族ベースと雇用ベースによる申請方法があり、それぞれのベースで優先枠を設けています。家族ベースでは、米国市民もしくは米国永住権保持者と家族関係であることが必須で、その関係性に応じて優先枠が設けられています。一方、雇用ベースでは、通常、米国の雇用主によるスポンサーシップが必須で、その外国人労働者 (申請者) の職務、能力、経験、学歴などに応じて優先枠が設けられています。各申請者は、いずれかの優先枠に振り分けられ、永住権発行の年間割り当て制限に準じ、永住権取得への機会が与えられます。

Priority Date (優先日): 優先日は、米国永住権の申請者にとって、永住権取得への順番待ちのチケットのような役目を果たします。米国移民局に永住権の請願書が受理された日、または、雇用ベースの特定の優先枠では、米国労働省にLabor Certification (労働認定証) の申請書を提出した日が、その申請者の優先日となります。各優先枠ごとに永住権の年間割り当て数が決められているため、該当する優先枠における永住権取得への順番は、この優先日によって確立されます。

Quota (割り当て): 米国移民制度では、年間に発行できる永住権の数に制限を設けています。そのため、米国永住権申請の各優先枠ごとに、申請者数の状況を踏まえながら、永住権の発行可能数を決めています。これを永住権の割り当てと言います。この割り当て制度のもと、毎年約40万の永住権が発行されています。また、この割り当て制度は、優先枠だけでなく、特定の国にも適用されています。例えば、ある国からの国民には、毎年2万5000までの永住権しか発行されません。

Removal Proceedings/ Deportation Proceedings (国外追放手続き): 移民法に違反した人を、米国から追放するための法的プロセスの意味です。このプロセスは、移民判事同席のもとで行われます。

Status (在留資格/ステータス): 米国内に存在する、すべての人には、必ず何かしらのステータス (身分) があり、米国市民というステータス、永住権保持者というステータス、H-1B (特殊技能職) ビザ保持者のステータスという具合に、カテゴリごとに分けることができます。よって、米国で滞在するためには、外国人も、移民、非移民を問わず、必ず何かしらのステータスを保持していなければなりません。例えば、米国の学校に通うため、F-1 (学生) ビザのビザステッカーを取得し、米国へ入国した人は、F-1 (学生) ビザ保持者のステータスで滞在している、ということになります。

The Visa Waiver Program/ ESTA (ビザ免除プログラム): 特定の国の国民が、短期間の特定の目的で米国へ入国したい場合に限り、事前に在外米国大使館および領事館でビザステッカーを申請することなく入国できるプログラムを意味します。米国での滞在期間は最長90日までで、特定の滞在目的とは、商用 (就労ではない) か観光に限られています。

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米国移民でよく使われる略語

AOS /245: Adjustment of Status (在留資格/ステータス変更)
CBP: U.S. Customs and Border Protection (米国税関・国境警備局)
COS: Change of Status (ステータス変更)
CSC: California Service Center (カリフォルニアサービスセンター)
DHS: U.S. Department of Homeland Security (米国国土安全保障省)DOL: U.S. Department of Labor (米国労働省)
DOS: U.S. Department of State (米国国務省)
D/S: Duration of Status (ステータス存続)
EAC: Eastern Adjudication Center (現在のバーモントサービスセンターの旧名)
EAD: Employment Authorization Document (労働許可証)
EDD: California Employment Development Department (カリフォルニア雇用開発局)
EOS: Extension of Status (ステータス延長)
Form I-129: Petition for a Nonimmigrant Worker (非移民労働者のための請願書。米国移民局の申請書類の名称)
Form I-130: Petition for Alien Relative (外国人家族のための請願書。米国移民局の申請書類の名称)
Form I-140: Immigrant Petition for Alien Workers (外国人労働者のための移民請願書。米国移民局の申請書類の名称)
Form I-485: Application to Register Permanent Residence or Adjust Status (ステータスを米国永住権保持者へと変えるための申請書。米国移民局の申請書類の名称)
Form I-551: Alien Registration Receipt (グリーンカード)
Form I-765: Application for Employment Authorization (労働許可のための申請書。米国移民局の申請書類の名称)
ICE: U.S. Immigration and Customs Enforcement (米国移民関税執行局)
INA: Immigration and Nationality Act (移民国籍法)
INS: U.S. Immigration and Naturalization Service (米国移民帰化局。現在の米国移民局の前身)
IV: Immigrant Visa (移民ビザ。ビザステッカーを意味する場合も、永住権を意味する場合もある)
LC: Labor Certification (労働認定証)
LCA: Labor Condition Application (労働条件申請書。H-1Bビザ申請で使用される、米国労働省の申請書類の名称)
LIN: Initials for Cases Filed at Nebraska Service Center (ネブラスカサービスセンターへ申請されたケースに付けられる、ケース番号の最初の頭文字)
LPR: Lawful Permanent Resident (米国永住権保持者)
NAFTA: North American Free Trade Agreement (北米自由貿易協定)
NBC: National Benefits Center (ナショナルベネフィットセンター)
NIV: Nonimmigrant Visa (非移民ビザ)
NSC: Nebraska Service Center (ネブラスカサービスセンター)
RFE: Request for Evidence (追加証拠書類要請。米国移民局が発行する通知)
TSC: Texas Service Center (テキサスサービスセンター)
U.S.: United States (米国、アメリカ合衆国)
USCIS: U.S. Citizenship and Immigration Services (米国移民局)
USC: United States Citizen (米国市民)
VSC: Vermont Service Center (バーモントサービスセンター)
VWP: Visa Waiver Program (ビザ免除プログラム)
WAC: Western Adjudication Center (現在のカリフォルニアサービスセンターの旧名)

米国移民に関わっている米国行政機関
米国では、米国国務省、米国国土安全保障省、米国労働省の、主に3つの米国連邦政府機関が米国移民の大部分の責務を担っています。

U.S. Department of State (米国国務省)

米国国務省は、すべての在外米国大使館および領事館を管轄しています。在外米国大使館および領事館は、米国への入国を求める外国人に対し、非移民および移民ビザの発給業務を担っています。

U.S. Department of Homeland Security (米国国土安全保障省)

米国国土安全保障省は、2003年に設立されました。この設立を機に、U.S. Immigration and Naturalization Service (INS/米国移民帰化局) は廃止され、その機能は、米国国土安全保障省に統合されました。統合後、INSの移民に関する職務は、U.S. Citizenship and Immigration Services (米国移民局)、U.S. Immigration and Customs Enforcement (米国移民関税執行局)、U.S. Customs and Border Protection (米国税関・国境警備局) の3つの新しい米国連邦政府機関に分割されました。

The U.S. Citizenship and Immigration Services (米国移民局)

米国移民局は、非移民ビザや移民ビザの請願書や、ステータス変更、ステータス延長、永住権、亡命、難民、米国市民権などの申請書を審査し、判定する業務を担っています。

The U.S. Immigration and Customs Enforcement (米国移民関税執行局)

米国移民関税執行局は、米国移民法の執行業務を担い、非移民および移民の捜査、拘留、国外追放を執行しています。

The U.S. Customs and Border Protection (米国税関・国境警備局)

米国税関・国境警備局は、空港、国境検問、税関での管理業務を担っています。米国到着時、パスポートを調べ、米国への入国を許可するかしないかを決断している入国審査官は、米国税関・国境警備局に属する役人です。

U.S. Department of Labor (米国労働省)

米国労働省は、米国内での外国人雇用を管理する業務を担っています。特に、H-1B ビザ申請の一部や、Labor Certification (労働認定証) は、米国労働省の管轄となります。

その他の米国連邦および州政府機関

他にも、米国に滞在する外国人にも大いに関係する、連邦、州、地方の行政機関には、Social Security Administration (社会保障局)、Internal Revenue Service (米国内国歳入庁)、Department of Motor Vehicles (陸運局) などが挙げられます。